更年期に関節痛が出たら?
症状と原因、対処法

運動器官系の症状
20/12/28
更年期に関節痛が出たら?<br />症状と原因、対処法

45歳を過ぎてから、手指や肘、腰、膝、足首の関節に痛みを感じる場合、更年期が原因だと考えられます。更年期自体は多くの女性に起こる変化となりますが、適切な治療とケアによって症状を緩和させることができます。
また放置すると症状が悪化し、日常生活に支障が出る更年期障害になるリスクも高くなるため、早い段階からの対策が必要です。

そこで今回は、更年期による関節痛の原因と症状、対処法についてお話しします。

更年期とは

一般的に、45歳から55歳の女性は、月経の終わりである『閉経』を迎えます。閉経が起こると女性ホルモン『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の分泌が低下し、体と心の健康状態を保つことが難しくなります。このときにあらわれる症状が、いわゆる『更年期症状』です。

卵胞ホルモンは主に妊娠や出産、女性の美容を支えるホルモンとして知られていますが、血管や骨、筋肉、自律神経や代謝など、体を適切に動かすためには欠かせない機能を持つホルモンでもあります。
そのため、更年期を迎えて卵胞ホルモンが分泌されなくなると、心身ともに不調が増えていきます。今回のキーワードである関節痛も、数ある更年期症状のうちの一つです。

更年期後期に出やすい関節痛

更年期症状には、早い時期に起こるものと遅い時期に起こるものがあります。

早い時期に起こる更年期症状は、平均して45歳前後の女性に出やすいと考えられています。卵胞ホルモンの分泌が低下し始め、その変化に体が対応しきれず、血管の収縮と拡張をつかさどる自律神経のバランスが崩れることが原因です。
これにより、のぼせや体のほてり、発汗、不眠やめまい、不安やイライラ感などの症状が目立つようになります。

遅い時期に起こる更年期症状は、55歳以降の女性に出るケースが多いです。卵胞ホルモンがほとんど分泌されなくなり、泌尿器や生殖器、認知力、筋肉や骨量の減少が出てくる時期です。
これにより、肩こりや関節痛、骨粗しょう症、脂質異常症、動脈硬化症などの不調を感じやすくなります。

更年期セルフチェック

現在悩んでいる関節痛と更年期の関係性を確かめるには、ほかに症状が見られないか考えてみることをおすすめします。特に更年期後期に起こりやすい症状と照らし合わせてみると、更年期のサインがわかりやすくなるでしょう。

    • 肩こりや腰痛がある
    • 皮膚がかさかさして、かゆみがある
    • 記憶力や判断力、思考力が低下している
    • 尿を失禁してしまうことが多くなった
    • 陰部のかゆみや出血が目立つ

 

関節痛に合わせ、上記のような症状に心当たりがある場合は、更年期によって関節痛が起きている可能性が高いです。
更年期後期は体の機能が弱くなる時期でもあるため、少しでも不調を感じているのなら、早めに検査と治療を受けることをおすすめします。

更年期を迎えたら健康診断を受けましょう

更年期を迎えた女性の体にはさまざまな変化が起こりますが、乳がんや子宮がんなどの病気のリスクも高くなります。だからこそ、専門家による診察と検査を受け、体に異常がないかを確認する必要があります。

更年期が来たら、医療機関を受診して検査を受けましょう。問診や内診、血液検査を通じ、子宮や卵巣の状態や血液中のホルモン量などを調べることができます。
更年期症状のほかに病気が隠れていないかを確認することもできるため、不安材料をなくすためにも検査を受けてみるといいでしょう。

更年期における関節痛の症状と原因

更年期後期にあらわれる関節痛は、手指や肘、腰、膝、足首などにあらわれるケースが多いです。

関節痛の症状

関節痛の症状は、

    • 手指、肘、腰、膝、足首の関節がこわばる
    • 節々が痛くなる
    • 正座をすると膝が痛くなる
    • 階段の上り下りで辛く感じる
    • ヒールが高い靴が履けなくなった

 

などの不調や違和感をもたらします。「歩けない」「痛みが引かない」などの悩みも合わさり、日常生活での動作が困難になるケースも少なくありません。

関節痛の原因

更年期における関節痛は、リウマチや膠原病などの病気が関係していない場合、卵胞ホルモンの減少が原因です。卵胞ホルモンは軟骨を構成するコラーゲンの生成を支えていて、更年期によって分泌が低下すると、それに合わせて関節の間の軟骨が作られなくなってしまうためです。
この変化により、いわゆる関節の『クッション』が不足した状態になり、痛みが目立ちやすくなります。

ただし、痛みがあまりにもひどい場合には変形性関節症が起こっている可能性も考えられます。体を動かせないほどに症状を辛く感じるのなら、我慢や放置をせずに医療機関を受診し、体に異変が起こっていないかを確かめましょう。

更年期の関節痛への対処法

更年期による関節痛を緩和するためには、医療機関での治療と生活習慣からのケアが必要です。専門家の見解と治療を活かしつつ、毎日のケアで体を整え、日常生活への影響を抑えましょう。

医療機関での治療

医療機関における更年期の治療は、主に『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』が選択されます。状態に合わせ、『非ステロイド性抗炎症薬』を使うケースもあります。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法とは、更年期や閉経によって失われた女性ホルモンを薬剤によって補う方法です。薬の種類や服用する手段はさまざまなものがあり、女性の症状や年齢に合わせて使い分けます。副作用が出るデメリットが多少ある一方、即効性に優れた方法でもあります。
また副作用が出る場合でも、服用を継続しているうちに軽快していくケースが多いです。

ホルモン補充療法の治療費には個人差があり、月に1,000から5,000円が一般的な相場です。

漢方

ホルモン補充療法による副作用が心配な方や、体質改善によって関節痛を緩和させたい方には、漢方が適しています。体格や体質に合わせて薬を処方されるケースが一般的ですが、関節痛には『防己黄耆湯』が有効だと考えられています。女性外来や更年期外来、漢方外来、または市販の薬局でも処方してもらえるため、漢方による治療を希望するのなら相談してみるといいでしょう。

非ステロイド性抗炎症薬

変形性膝関節症のように関節への変形が見られる場合には、非ステロイド性抗炎症薬をはじめとする薬が使われるケースもあります。いずれにしても状態を適切に確認することで治療法が決まっていくことから、まずは医療機関で診察と検査を受ける必要があります。

個人でできるセルフケア

生活習慣の範囲内でできるセルフケアは、『エクオールの摂取』『肥満防止や姿勢の改善』が大切なポイントです。

エクオールの摂取

『エクオール』は、体内で女性ホルモンと似た働きをする『大豆イソフラボン』の働きを強めてくれると注目されています。実際にエクオールが含まれる食品をとることで、関節痛の軽減や機能の回復が見られたケースも多いほどです。

エクオールはサプリメントや大豆製品をとることで体内に入れられますが、腸内でエクオールを産生できないタイプの方も多く、事前に確かめる必要があります。ただしエクオール産生が難しい場合でもサプリメントを使うことは可能であるため、積極的に取り入れてみるといいでしょう。

肥満防止や姿勢の改善

体重の重さは関節に負担をかけ、また中腰の姿勢やねじる動作は関節痛を引き起こす要因です。

体重が重い方は体重を減らすように心がけ、姿勢の悪さが気になる方は常に良い姿勢を意識しましょう。適度な運動で血液の循環を良くすることも、関節痛の緩和に役立ちます。

治療環境の見直しも必要です

更年期には、関節痛だけでなく心身ともに非常に多くの不調があらわれます。更年期をできるだけ快適に過ごすためには医療機関での治療が欠かせませんが、場合によっては金銭的な負担が新たなストレスになるリスクも避けられません。

そのため、医療保険の見直しをして金銭的ストレスを軽減することが得策です。治療にかかる負担を減らすことで、治療や健康管理に対して前向きな気持ちになり、症状軽減や体質改善につながっていきます。

適切な治療と毎日の生活改善、それが不安なくできる環境で、更年期症状と上手に向き合っていきましょう。

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