更年期に注意すべき病気:乳がん

更年期に注意すべき病気・治療費
21/01/13
更年期に注意すべき病気:乳がん

女性のがんの中ではもっとも多いのが乳がん。40代後半から60代後半にかけて病気にかかりやすいことがわかっています。
40代後半というと更年期世代でもあり、さまざまな病気のリスクも考えられるでしょう。今回は乳がんという病気について、症状や治療、早期発見に繋がる検診やセルフチェックについてご紹介していきます。

乳がんとは

乳房は母乳を作る乳腺とそれを包む脂肪組織から形づくられています。乳腺は乳頭からブドウの房のように張り巡らされている乳腺葉にわかれています。女性の場合、授乳期にホルモン作用によって母乳が作られ、乳管を通して分泌されます。

また、乳房には多くのリンパ管が通っていて、脇の下のリンパ節に集中しています。他にも鎖骨の近くのリンパ節もあります。乳がんは乳腺の組織にできるがんです。
多くは乳管にがんができることが多いですが、乳腺小葉からがんができることもあります。乳がんは女性だけではなく、男性にもある病気です。

日本では乳がんの患者数は急増してきています。乳がんの多い欧米に比べると、日本は1/3程度ですが、1990年代では大腸がんに次ぐ患者数から、近年では圧倒的な数で一位となっています。これらのことから、日本の女性がもっとも注意しなければならないがんともいえるでしょう。

乳がんの原因

乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンが深く関わっているとされています。エストロゲンにさらされる期間が長いことが、乳がんのリスク要因として考えられます。
この条件として当てはまるのは、初潮が早い、閉経が遅い、初産が遅い、未産、エストロゲンを含むホルモン治療で長期療法を受けているなどです。他にも遺伝性、飲酒や喫煙、閉経後の肥満、糖尿病、夜間勤務などもリスクを高めるとされています。

乳がんの症状、診断

乳がんは自分で見つけることができるがんとしても知られていますが、症状としては乳房のしこり、えくぼやただれができる、左右の乳房の形が非対称になる、乳頭から分泌物が出るなどがみられます。
しかし、がんが小さい、乳房の奥にある、がんがバラバラに進行していく場合には、症状がわかりにくいこともあります。乳がんの検査としては、視触診、マンモグラフィーという乳房専用のレントゲン、超音波検査を行います。そして、必要に応じて、造影MRIや針を刺して細胞や組織を採って詳しく調べる、細胞診・組織診を行い、確定診断をします。

また、乳がんには大きく種類があり、進行度によって0~4期にわけられています。乳がんの種類には非浸潤がん、浸潤がん、パジェット病があります。
非浸潤がんは、乳管や乳腺葉の中にがんがとどまっている段階を指します。しこりが触れないこともあり、検診で異常を発見されることも多いです。浸潤がんは乳管から間質にがんが広がったものをいいます。しこりが触れる乳がんのほとんどはこれにあたります。
パジェット病は乳頭のびらんで発見されるがんで稀なものです。これらを、がんの腫瘤の大きさとリンパ節転移の有無でステージ0~4期にわけています。0~1期では90~100%の生存率が期待でき、早期発見が重要といえます。

乳がんの治療

乳がんの治療には手術や放射線治療、薬物治療などがあります。主にこれらをがんの種類や進行度に沿って、組み合わせて治療を行います。

手術

多くの乳がんは手術が適応となります。手術には乳房を温存して、がんと乳房の一部を取り除く『乳房部分切除術』、乳房すべてを摘出する『乳房切除術』、乳頭を残す『乳頭温存乳房切除術』という手術もあります。乳房を温存する手術では、小さながん細胞が残っている可能性があるため、放射線治療を並行して行います。
また、がんが大きい場合にも、手術前に抗がん剤などを使って小さくしてから手術を行うこともあります。

乳房再建とは

乳房切除後、自分のお腹や背中などから採取した組織やシリコンなどを用いて乳房を作ることです。
乳がんの手術と同時に行う場合と、放射線治療などを並行して行っている場合には、数か月から数年後に行うこともあります。手術後の傷にショックを受けたり、見た目が気になったりする人も多いため、よく主治医と相談して検討してください。

放射線治療

乳がん治療でも多く行われるのが、この放射線治療です。がん細胞を死滅させたり、小さくしたりする治療方法です。
一日一回、週5回を4~6週間かけて照射するのが一般的な目安です。放射線治療は、当たったところが日焼けのように赤くなったり、かゆくなったりすることもあります。手術前にがんを小さくするため、手術後の再発予防のために行うことが多いです。

薬物治療

乳がんに対する薬物治療は主に化学療法とホルモン療法があります。手術の前にがんを小さくして乳房温存を目的としたものや、転移再発予防、転移のあるがんに対して病状をコントロール(進行を遅らせる、延命効果)する目的で用いることがあります。
化学療法では、いくつかの抗がん剤を組み合わせて点滴で投与されます。また、がん細胞のみを標的として働く分子標的薬という副作用の少ないものもあります。ホルモン療法は乳がんを増殖させるのを抑える役割があり、副作用が少なく、長期間使えるのが特徴です。
特に女性ホルモンの影響を受けやすい、ホルモン受容体を持つがんであると効果的です。 がんの種類や進行度に合わせて薬の適応があり、調整していきます。

乳がん検診、自己触診

乳がんで大事なのは、定期的な乳がん検診と自己触診です。日本では、乳がんの初発症状の8割は自己触診でしこりに気づいたことからといわれています。乳がんのようにセルフチェックで気づくことのできるがんは多くはありません。着替えや入浴時など、乳房の見た目や分泌物の有無、触診してしこりの有無を確認する習慣をつけましょう。

方法としては、月経が終わった後、乳房の張りや痛みがないタイミングでチェックをします。入浴時には、石けんがついた手(三本指)で、乳房の凹凸がないかをみます。

また、着替えのときには鏡の前で腕をあげたり、腰に手をあてたりして乳房のひきつれ、くぼみ、左右差がないか確認します。仰向けに寝て、入浴時と同じように三本指で凸凹がないかチェックします。乳房の外側(脇側)や上部にがんができやすいため、意識して確認しましょう。しかし、こうした自己触診だけでは見つけられないこともあるため、定期的に乳がん検診を受けることも重要です。自分の誕生日の前後などを検診日として手帳にメモをしておく、こうした検診を忘れない工夫も大切です。

乳房の形やしこりなど、気になる症状がある場合には、乳腺外科のある医療機関を受診しましょう。女性のがんなので、婦人科だと勘違いされる人も多いですが、乳腺外科、外科の領域になります。早めの受診で早期発見、早期治療につなげましょう。

参考

www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/breast.html

ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html

jbcs.gr.jp/guidline/p2019/use/u04/

jbcs.gr.jp/guidline/p2019/guidline/g1/q1/#a1-1

この記事を監修している先生


小山嵩夫クリニック

小山嵩夫先生

小山嵩夫クリニック院長
NPO法人「更年期と加齢のヘルスケア」理事長
一般社団法人「日本サプリメント学会」理事長

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