更年期に胃の調子が悪くなる!?
胃もたれの症状と原因、対処方法
「食べる量を増やしていないのに、食後に胃もたれが出る」「夜に胃がムカムカするので眠れない」「胃がもたれるせいで食欲がなくなった」、45歳前後でこれらの症状が出ている場合、更年期が関係していると言えます。
女性の体調を左右する更年期は、ある程度の年齢を迎えるとほとんどのケースで経験することですが、しっかりと治療を受けていれば十分に緩和できます。また、自分自身で毎日の健康管理を心がけることも、更年期を快適に過ごすためにはとても大切なポイントです。
今回は、胃もたれの症状や原因、更年期との関連性、対処方法について解説します。
胃もたれの症状
まず胃もたれとは、文字通り胃のもたれやむかつき、胃痛や吐き気などの不快症状のことです。
本来、胃には食べ物を消化する役割がありますが、何らかの原因で食べ物が胃に残ってしまうことがあります。これによって食べ物がきちんと消化されず、
- 胃の重苦しさ
- 消化が追い付いていない感覚
- 胃が膨満しているような感覚
- 吐き気
などの症状が目立つようになります。また胃もたれは、数ある体調不良のなかでも多くの人に起こりやすい症状の一つです。
胃もたれの原因
胃もたれの原因には、日常生活での過ごし方や病気を原因とするものから、更年期が関係して起こるものがあります。
一般的な胃もたれの原因
一般的な胃もたれの原因は、
- 不規則な食生活
- 精神的なストレス
- 年齢
などです。
不規則な食生活
脂肪の多い肉や揚げ物など、脂質が高い食べ物は消化に時間がかかり、胃に負担をかけてしまいます。
食事の時間がいつも不安定であったり、好き嫌いが激しい偏食気味になっていたりすることも、結果的に胃に負担をかける原因です。これらの原因で胃もたれの症状が出ている場合には、毎日の食生活の見直しをする必要があります。
精神的なストレス
仕事や人間関係などの精神的なストレスは、自律神経のバランスを崩す原因です。自律神経は胃の働きにも深く関係していて、バランスが乱れると食べ物を消化する胃液の量を減らしてしまいます。さらには食べ物を送り出す蠕動運動も鈍らせ、胃もたれを引き起こします。
精神的なストレスは、私たちが想像する以上に体調に大きな悪影響を与えるものです。だからこそ、日ごろのストレス対策を心がけ、健康な体を守ることが大切なポイントです。
年齢
年齢を重ねると、それにつれて胃の働きが弱まります。そのため、年齢に合わせた量で胃に負担のない食生活を心掛ける必要があります。
更年期による胃もたれ
45歳から55歳で胃もたれが目立ち始めた場合、更年期症状が出ている可能性が高いです。自律神経の乱れが主な原因だと言われています。
40代以降にかけて起こる更年期は、卵巣機能の低下によって『卵胞ホルモン(エストロゲン)』が減少する時期です。卵胞ホルモンは出産や妊娠に関わるホルモンとして知られていますが、筋肉や骨の健康状態を支え、自律神経のバランスを適切に保つために欠かせないものです。
更年期によって卵胞ホルモンが減少すると、自律神経の機能も低下し、消化力が弱まって胃もたれが起こりやすくなります。
更年期症状のチェックリスト
更年期によって胃もたれが起こっていると考えるには、ほかの更年期症状が出ていないかを確かめるといいでしょう。
- 顔がほてったり、上半身がのぼせたりする
- 夏以外の季節でも汗をかきやすくなった
- 手足や腰が冷えやすくなった
- 息切れや動悸が出ている
- 以前より寝つきが悪くなり、睡眠の質も落ちている
- くよくよし、憂うつな気分になることが多い
- 怒りやすくなり、すぐにイライラしてしまう
- 頭痛やめまい、吐き気が頻繁に出る
- 以前よりも疲れやすくなっている
上記の症状は、更年期に多い症状です。胃もたれ以外にこのような症状が見られる場合は、更年期を迎えたために不調が起きている可能性が高いです。更年期症状は医療機関による専門的な治療が必要となるため、早いうちから検査や治療を始めましょう。
更年期症状を経験する45歳から55歳のあいだは、症状に加えて精神的なストレスも感じやすい時期です。子供の自立や夫婦間の摩擦などをはじめ、介護や親しい人との死別、社会的立場の変化や容姿の変化などがストレス要因になり、更年期症状が『更年期障害』に悪化するリスクも否定できません。
現在の症状をさらに悪くしないよう、更年期症状が出始めたらなるべくすぐに対応を考えましょう。
ほかの病気が隠れているケースも
生活習慣の乱れや更年期症状のほかに、ほかの病気が胃もたれの引き金となっている可能性もあります。
上記の症状が複数出ているのなら、更年期症状が始まっていると考えられます。更年期症状には専門的な治療が求められるため、独断での放置や楽観視は危険です。できるだけ早くに医療機関を受診し、必要な治療を始めましょう。
胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ感染、機能性ディスペプシアなどの病気などがその例です。これらの病気は放置が危険なタイプです。危険な病気を見逃さないためにも、消化器専門外来を受診することも検討しましょう。
胃もたれへの対処方法
胃もたれを緩和させるには、胃を守るための生活習慣と専門的な治療が必要です。日常生活で胃への負担を減らし、同時に医療機関での治療で症状を抑えましょう。
食生活の改善と適度な運動、ストレスケア
胃もたれへのケアで大切なポイントは、胃にかかる負担を減らすことです。特に食生活を見直すことによって胃にストレスを与えない状態に整えることができます。
- 食事では腹八分目を意識する
- 就寝3時間ほど前に食事を終わらせる
- 食物繊維を積極的に取り入れる
- 動物性の脂肪や甘いものをできるだけ避ける
などの食生活の改善により、胃への負担を軽減できます。
運動や規則正しい生活で自律神経の機能を整えることも、胃もたれの緩和には役立つポイントです。特に運動は胃腸の働きを活性化させ、胃もたれを防いでくれます。ウォーキングや階段の利用など、日常生活で可能な範囲での運動を意識しましょう。
十分な時間の睡眠や毎日の入浴も、自律神経の調整や胃もたれの軽減に優れた効果を発揮します。
医療機関での治療
更年期の治療は専門的な見解が必要となり、また胃もたれには深刻な病気が潜んでいる可能性もあるため、医療機関での治療も必要です。更年期症状には状態に合わせた治療が行われ、内科系の病気では専用の薬物治療が行われます。
更年期治療では、主に『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』が選択されるケースが多いです。ホルモン補充療法は即効性に優れ、漢方は体質改善を目的にした治療法です。どちらにもメリットとデメリット、特徴があるため、医師と相談しながら体質や症状に適した方法を選びましょう。
危険な病気が考えられる胃もたれには、消化器外来での検査を受けてから、薬物治療が必要です。内視鏡検査や腹部エコーで状態を確認してから、必要な治療を受けるようにしましょう。
治療環境を見直し、健康的な更年期につなげましょう
以上、更年期に起こる胃もたれの症状や原因、対処方法についてお話ししました。更年期は胃もたれをはじめ、体力的・精神的な負担が大きくなる時期です。症状の悪化を防ぎ、快適な更年期を過ごすためには、医療機関での治療が欠かせません
ただし、金銭的な負担がさらなるストレスを生み出すケースも多いです。実際にホルモン補充療法の相場は月1,000円から5,000円で、継続を辛く感じられることがあるかもしれません。そのような場合には医療保険の見直しを考え、治療費の負担を少しでも軽減することをおすすめします。
医療保険のホームページやサイトで情報を集め、ご自分に合った保険を探してみましょう。治療費による金銭的なストレスを避けることで、安心して症状緩和に専念できるようになります。
治療を受けるために理想的な環境を整え、長く辛い更年期と上手に付き合っていきましょう。