更年期に起きる
吐き気の原因と対処法とは?

消化器系の症状
21/01/13
更年期に起きる<br/>吐き気の原因と対処法とは?

「何だか胃腸の調子が悪くなっている」「急に吐き気がして、食欲がわかない」「つわりのような気持ち悪さを感じる」、45歳前後でこのような症状が出ている場合、更年期が原因である可能性が高いです。

閉経と同時に起こる更年期症状は、多くの女性の方にとって憂うつなもの。しかし、必要な治療を受けて体調管理を意識していれば、症状の緩和ができるようになります。ストレスの多い更年期を健康的かつ快適に過ごすことは、十分に可能です。

今回は、更年期に起きる吐き気の症状と原因、対処法について解説します。

更年期に起こりやすくなる吐き気

一般的に、45歳から55歳の女性は卵巣機能の低下による『更年期』を迎えます。更年期は女性の体にとって大きな変化であるために心身ともにさまざまな症状があらわれ、吐き気もそのうちの一つです。
更年期を原因とする吐き気には個人差があるものの、胃のむかつきや食欲不振、急な吐き気や嘔吐を伴うケースが多いです。
また、突然吐き気をもよおしたりつい嘔吐をしたりなど、症状のコントロールが難しくなるケースもあります。

めまい、頭痛が出るケースも

吐き気や食欲不振、嘔吐に加え、めまいや頭痛などの症状が出るケースも少なくありません。

例えばめまいでは天井や壁がグルグルと回っているような『回転性めまい』、体が宙に浮いているような錯覚を伴う『浮遊性めまい』、さらには立ちくらみやめまいなどを同時に感じる方も多いです。
頭の片側がズキンズキンと鋭く痛くなる『片頭痛』が出るケースもあります。

片頭痛では、頭に重苦しい痛みを感じる『緊張型頭痛』とは異なり、「光や音などの刺激を受けて頭が痛くなる」「歩行や階段の上り下りなどの動作により、痛みが強く出る」などの症状もあります。

更年期に起こる吐き気の原因

更年期を迎えてからの吐き気の原因は、卵巣機能の低下による女性ホルモンの分泌低下です。

卵胞ホルモンの分泌低下による、セロトニンの減少が原因

平均的に45歳前後の女性は生理の終了『閉経』を迎え、それに合わせて卵巣機能が低下し、女性ホルモンの分泌も減少します。
特に女性の健康や美容を支えていた『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の分泌低下は、体力的・精神的に女性の体に大きなダメージを与えます。卵胞ホルモンの減少はセロトニンの減少につながり、自律神経のバランスを乱してしまうためです。

体力的・精神的な健康状態を良好に保つ自律神経は、活動時に働く『交感神経』とリラックス時に働く『副交感神経』がバランスよく機能することで成り立っています。
しかし、更年期による卵胞ホルモンの低下が起こると、副交感神経の働きが鈍くなってしまいます。その結果、交感神経が優位な状態が続いてしまい、吐き気や胃のむかつきなどの症状があらわれるのです。

胃腸の働きは主に副交感神経の機能によって支えられているため、その機能が失われることで著しくダメージを受け、更年期前よりも不調が出やすくなります。

更年期からは体調を崩しやすくなる

更年期を迎えた女性は、吐き気だけでなく、心身ともに非常に多くの不調を感じやすくなります。更年期症状に早期かつ適切に対応するためにも、症状の出方を知っておきましょう。
更年期症状には、45歳前後であらわれる『早い時期の症状』と55歳前後であらわれる『遅い時期の症状』があり、吐き気は早い時期の症状です。

基本的に、45歳前後の女性は閉経を迎えて女性ホルモンからの保護を受けられなくなりますが、閉経直後は女性ホルモンの分泌自体は続いています。
それでも更年期以前よりも女性ホルモンの分泌ははるかに少なくなっているため、自律神経をはじめとする体の機能が混乱状態になり、体力的・精神的な症状が増えていきます。
吐き気のほかに、のぼせやほてり、突発的な発汗、不眠、イライラ感、めまいや頭痛などの症状も出ている場合は、更年期症状がすでに始まっているサインです。

更年期症状のセルフチェック

吐き気と更年期との関係性を確かめるには、ほかに更年期症状が出ていないかを振り返っ てみることをおすすめします。

  • 暑い場所にいるわけではないのに、顔がほてる
  • いきなりのぼせることが多くなった
  • 季節や場所に関係なく、突然汗をかく
  • 上半身は熱いのに、腰や手足は冷える
  • 睡眠の質が低下している
  • ささいなことでイライラし、怒ってしまう
  • 気分が落ち込みやすく、憂うつになる
  • 疲れやすくなった

上記の症状に心当たりがあるのなら、現在感じている吐き気は更年期症状によるものだと考えられます。

更年期症状は閉経を迎えた女性の多くが経験するものであり、症状の程度や出方も一人ひとりによって変わります。問題なく更年期を乗り越える方も多ければ、生活に支障が出るほどに悪化する『更年期障害』に悩む方が多いことも事実です。
「しばらく様子見したい」「みんな我慢しているから、私も大丈夫だ」と自己判断せず、できるだけ早めに医療機関を受診し、治療やケアを始めましょう。

必要に応じてないかも受診しましょう

吐き気には内科系の病気が隠れているリスクも考えられます。そのようなリスクを防ぐためにも必ず医療機関で検査を受け、病気の原因を探してもらうようにしましょう。

更年期による吐き気への対処法

更年期症状による吐き気を緩和するには、医療機関での治療と生活習慣の見直しが必要です。

医療機関での治療

医療機関での更年期症状への治療は、『ホルモン補充療法(HRT)』と『漢方療法』の2つがメインです。

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法とは、更年期によって失われる卵胞ホルモンを、専用の薬剤を使って補う方法です。治療による効果が明確で、また幅広い症状に対応できることで重宝されています。

薬剤の種類や服用方法、投薬期間や間隔などは、女性一人ひとりの症状や程度、また子宮を摘出しているか・していないかによって変わります。

ホルモン補充療法は治療効果に優れている一方で、副作用の心配をされることが多い点も特徴的です。しかし、ほとんどの薬物療法にはある程度の副作用が出るリスクがあるため、あまり不安に思う必要はないと言えるでしょう。
また、副作用は投薬を続けているうちに軽快していくケースがほとんどです。

漢方療法

漢方療法では、東洋医学の観点に基づく漢方薬を処方し、症状の緩和を目指します。

ホルモン補充療法と異なる点は、症状そのものに対して薬を処方するのではなく、女性一人ひとりの体質や体型、症状の傾向に合わせて薬を選ぶことです。
また、薬の効果は即効性があるというよりは、ある程度の時間をかけて実感できるという特徴もあります。とは言え、体質改善を目的に症状の緩和を期待したい場合や副作用のリスクを避けたい場合には、漢方療法が適切です。

生活の見直しによる体調管理も

漢方療法では、東洋医学の観点に基づく漢方薬を処方し、症状の緩和を目指します。
医療機関での治療に合わせ、毎日の体調管理も、更年期症状を緩和するためには忘れてはならないポイントです。

  • 1日の生活リズムを整える(早寝早起き、太陽の光を浴びるなど)
  • 健康的な食事を意識する
  • 適度な運動を習慣にする
  • ストレスをためないように気を付ける
  • 毎日湯船に浸かる

など、規則正しく健康的な生活を心がけましょう。
非常に簡単に感じられるポイントではあるものの、これらの5つを守ることでストレスや冷えなどから体を守ることができます 。

サプリメントによる体調ケアも有効

毎日の健康管理をさらにスムーズに進めたい場合には、サプリメントの摂取もおすすめです。特に『エクオール』が含まれるサプリメントは、更年期症状の緩和に役立つと考えられています。

体内に入った大豆イソフラボンが腸内で代謝されて生じるエクオールは、更年期によって減少する卵胞ホルモンと似た働きをすることがわかっています。エクオールのサプリメントは医療機関での治療とともに取り入れても問題ないとされているため、毎日のケアに取り入れてみるといいでしょう。

医療保険の見直しも視野に入れましょう

更年期症状による吐き気をはじめ、さまざまな不調への対策には、医療機関での治療が必要不可欠です。一方、治療を継続するなかで金銭的な負担を感じ、あらたなストレスを抱えてしまう方も少なくありません。
実際にホルモン補充療法では月に1,000円から5,000円ほどの治療費が相場となることから、介護や子供の進学などで出費が多くなる場合、金銭的な負担がさらに増すこともあります。

そのような場合には、医療保険の見直しを検討しましょう。ご自分にとって適切な保険を選ぶことで、治療費の負担の軽減につながります。金銭的な負担を避けることにより、症状緩和に集中できるようになり、毎日を穏やかかつ健康的に過ごせるようにもなるでしょう。
長く辛い更年期を快適に乗り越えるためにも、ストレスのない治療環境を整えましょう。

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