更年期に下痢が苦しくなったら?
症状と原因、対処方法

消化器系の症状
20/12/28
更年期に下痢が苦しくなったら?<br />症状と原因、対処方法

女性ホルモンの分泌が低下する更年期は、体と心の不調が増えやすい時期です。更年期症状と言えばのぼせやほてりなどの症状で知られていますが、下痢も数ある不調のなかの一つです。

一般的に、45歳から55歳までの年齢で経験する更年期。長期間において辛い思いをするように感じられる更年期は、適切な治療と生活習慣の見直しによって快適に過ごすことができます。医療機関による検査や診察によって病気を防ぐことも可能となるため、「多くの女性が経験する症状だから」と思わず、早めの行動を心がけることが理想です。

今回は、下痢の症状や原因、更年期との関係性、対処方法について解説します。

下痢の症状

まず下痢とは、水分を多く含んだ便が排泄される状態のことです。排泄されるときやその直前に、腹痛や不快感を伴うケースも多いです。また下痢の種類としては、『急性下痢』『慢性下痢』『滲出性下痢』があります。

急性下痢

『浸透圧性下痢』とも呼ばれる、一時的に起こる下痢です。過剰なアルコール摂取や暴飲暴食など、不規則な食生活や食あたりが原因だと考えられています。腸内で栄養が必要以上に増えることにより、吸収に問題が生じて便の水分が増加することにより、急性下痢が引き起こされます。

慢性下痢

『ぜんどう運動性』『過敏性腸症候群』などとも呼ばれるタイプの下痢です。本来、腸は食べたものを肛門に押し届ける『蠕動運動』をする役割を担っています。しかし、何らかの原因によって食べ物が早く移動すると、水分の吸収が間に合わなくなります。これにより、便に十分な硬さが加わらないままに下痢が起こってしまうのです。

慢性下痢の原因にはストレスがよく挙げられますが、ホルモンの影響も関係していると言われています。

滲出性下痢

腸の炎症を原因として起こる慢性下痢で、潰瘍性大腸炎やクローン病との関係性が深いです。腸の炎症が便の水分量を増やし、また水分吸収を担う力を失わせてしまうことが原因です。

このように、下痢には急性的なタイプから慢性的なタイプ、深刻な病気が潜んでいるタイプなどがあり、症状の出方や特徴が異なります。危険な下痢を早期に発見するためにも、できるだけ早めに医療機関で検査を受けましょう。

下痢の原因

更年期を迎えてから下痢の症状が出ている場合、自律神経の乱れや冷え症が原因だと言えます。

更年期による自律神経の乱れ

一般的に、45歳前後の女性は卵巣機能の低下が起こる更年期を迎え、女性ホルモンの分泌が十分にされなくなります。女性ホルモンの分泌は完全になくなるわけではありませんが、以前と比べると減少することには変わりありません。
これにより、皮膚や骨、筋肉、自律神経の状態や機能に問題が生じ、心身ともに不調があらわれやすくなります。

特に自律神経の乱れは、下痢を引き起こす大きな原因の一つです。腸の動きは主に自律神経の機能によって支えられているため、自律神経の乱れが起こると、腸が正常に動けなくなるためです。

更年期症状の悪化には注意しましょう

卵胞ホルモンは、女性の体の健康状態を支えるためには欠かせない女性ホルモンです。しかし、更年期によって卵胞ホルモンが不足すると、心身ともに多くの不調が出るようになります。
症状の出方が年齢によって異なり、45歳前後の早い時期でホットフラッシュや冷え症、疲れや心の不調が出るのに対し、遅い時期では骨粗しょう症や脂質異常症、尿失禁などの体力的な不調が深刻化することも、更年期症状の特徴です。

更年期症状は多くの女性が経験するものとなりますが、「年齢だから仕方がない」「そのうち軽快する」と楽観視することは危険です。更年期の症状の程度には個人差があり、難なく乗り越える人も多ければ生活の質に支障が出る『更年期障害』にまで悪化する人も少なくありません。
そのため、更年期症状が出始めたら1日でも早く医療機関を受診し、検査や治療を通じて症状に対応する必要があります。

それに加え、更年期や日常生活の精神ストレスがさらに自律神経の乱れを助長するケースもあります。
更年期を迎える45歳から55歳のあいだは、子供の自立や夫婦関係の摩擦、介護のストレスなどの家庭問題、容姿の衰えについての悩み、職場での昇進や立場の変化など、精神的なストレスを抱えやすい時期です。これらの悩みが新たなストレスとなり、自律神経の不調や症状を生み出すリスクも無視できません。

冷え性が原因となるケースも

更年期に入ってから冷え症が起こり、下痢の症状が出るケースも多いです。更年期の女性に多く見られる冷えはさまざまな体調不良の原因となり、自律神経失調症や頭痛、腰痛、下痢・便秘、腹痛、むくみや疲労感などにつながります。そのため、下痢だけでなくあらゆる更年期症状と上手に向き合うためには、医療機関での治療と合わせて冷え対策が必要です。

更年期セルフチェック

「45歳あたりで下痢に悩むようになったけれど、本当に更年期症状が出ているのかわからない」という場合には、ほかの更年期症状と照らし合わせてみることをおすすめします。以下のチェックリストから、下痢に合わせて心当たりのある症状が出ていないかを確かめてみましょう。

  • 顔のほてり、のぼせ、発汗が目立つようになった
  • 手足や腰がよく冷える
  • 息切れや動悸が出てきている
  • 寝つきが悪くなった
  • 怒りやすく、すぐにイライラしてしまう
  • くよくよしたり、憂うつになったりするときが増えている
  • 頭痛、めまい、吐き気がよく出るようになった
  • 以前よりも疲れやすくなった

上記の症状が複数出ているのなら、更年期症状が始まっていると考えられます。更年期症状には専門的な治療が求められるため、独断での放置や楽観視は危険です。できるだけ早くに医療機関を受診し、必要な治療を始めましょう。

下痢への対処方法

更年期による下痢の症状を緩和させるには、生活習慣の改善によって自律神経の乱れや冷え症を改善し、医療機関で症状としっかりと向き合うことが大切なポイントです。

生活習慣の改善

体調が大きく変化し、以前と比べて明らかに不安定になる更年期を健康的に過ごすには、

  • 体を内側から温める
  • ストレスを軽減する

の2つの軸を守っていくことが大事です。以下の5原則を意識し、冷え対策とストレス対策に取り組んでみましょう。

  • 原則①:早寝早起きを心がける(起床後に太陽の光を浴びると、体内のセロトニンが増えやすくなります)
  • 原則②:地中海食や和食で、栄養バランスの良い食事を続ける(和食は塩分過多になりやすいため、減塩を意識しましょう)
  • 原則③:ウォーキングやストレッチなど、適度な運動を習慣にする
  • 原則④:無理を避けて自分のペースを守り、ストレスの原因をなくす
  • シャワーのみで済ませず、毎日湯船につかって入浴する

以上の5原則は一見非常に簡単に見えるものですが、意外にも毎日の生活で意識できていない方が多いです。全体的な健康状態を支えるには欠かせないポイントでもあるため、まずは基本的な生活習慣を良好に整えましょう。

医療機関での治療

下痢に加えてほかの更年期症状も出ている場合、または更年期症状と適切に向き合うには、医療機関での治療も欠かせません。更年期外来や女性外来を受診し、専門医のもとで治療に臨みましょう。

更年期症状への治療法には、『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』などが使われるケースが多いです。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法とは、更年期によって減少する女性ホルモンを補う方法です。投薬のタイミングや期間、種類は、女性一人ひとりの症状によって異なります。

更年期症状に幅広く対応でき、即効性に優れている一方、副作用が出やすいというデメリットもあります。しかし、副作用は時間とともに軽快していくため、深刻な体調不良が出ていない限りは問題なく続けることが可能です。

漢方

漢方では体質改善を前提に薬を処方し、更年期症状を緩和していきます。ホルモン補充療法のように即効性を期待できる方法ではありませんが、体質全体が改善されるうえに副作用が出にくいということが大きなメリットです。更年期外来や女性外来、漢方外来のほか、漢方担当の薬剤師が在籍する薬局で、状態や体質に合わせた漢方薬を処方してもらえます。

医療保険を見直し、金銭的負担を減らしましょう

45歳から55歳までの女性に訪れる更年期は、長いうえに体調が乱れやすい時期です。更年期をなるべく快適に過ごすためには医療機関での治療が必要ですが、それによって金銭的な負担が増えるケースも少なくありません。例えばホルモン補充療法は月に1,000円から5,000円の治療費がかかるとされています。

金銭的な負担がほかのストレスを作らないよう、医療保険の見直しを検討してみましょう。保険会社のホームページやサイトを検索すると、豊富な情報が出てきます。それぞれの情報を吟味し、ご自分に適切な保険を選択することで、更年期治療の負担を減らすことにつながります。

症状緩和に専念するためにも、ストレスなく治療を受けられる環境を整えましょう。

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