更年期にイライラや不安が止まらない!?
原因と対処法まとめ
「40歳後半になってからイライラすることが増え、夫や子供に八つ当たりしてしまう」「理由もなく物事に不安を感じるようになった」などの心の不調に心当たりがある場合、更年期による女性ホルモンの崩れが関係している可能性が高いです。多くの女性が迎える更年期による不調は、原因と適切な対処法を知っておくことで、日常生活を快適に過ごせるようにまで緩和させることができます。
そこで今回は、更年期によるイライラと不安の原因と対処法についてお話しします。
更年期には、心の不調があらわれやすくなる
- 月経前のときのように、いろいろなことに対してイライラしてしまう
- 神経質になり、何かにつけて怒ってしまう
- 漠然とした不安に悩まされている
- 胸の中がザワザワと騒がしくなり、落ち着かない
- 目立った体調不良がないのに、不安な気持ちになる
このようなイライラと不安を、45歳前後で感じている場合、更年期による症状が出ていると考えられます。
日本女性では、平均的に51歳前後で閉経を迎えます。それに応じて卵巣機能や女性ホルモンの分泌の低下が目立つようになります。
しかし、閉経しても女性ホルモンの分泌は少ないながらも続いているため、いわゆる『更年期症状』と呼ばれる不調に悩まされやすくなります。イライラと不安は、数ある更年期症状のうちの一つです。
イライラや不安は、早い時期にあらわれる
更年期症状には早い時期に出るものと遅い時期に出るものがあり、イライラと不安は前者に当てはまります。
閉経後、女性ホルモンの分泌に身体が慣れていないため、血管の収縮や拡張を支える自律神経に悪影響が及ぼされるためです。これにより、イライラと不安をはじめとする心の不調があらわれるようになります。
更年期特有の症状
イライラと不安と更年期の関係性を見出すためには、ほかの症状が出ていないか確かめるとわかりやすくなります。イライラと不安に合わせて、以下のような症状がないか見てみましょう。
- 顔のほてりや汗が気になる
- 腰や手足が冷える
- 息切れや動悸がする
- 眠りの質が低くなっている
- 頭痛やめまい、吐き気が出る
- 疲れやすくなっている
以上の症状に複数心当たりが見られる場合、更年期によってイライラと不安が出ていると考えられます。女性ホルモンの乱れによる身体の変化が起こっていることを受け止め、適切な治療やケアを始めていく必要があります。
更年期におけるイライラと不安の原因
更年期に起こるイライラと不安の原因は、女性ホルモン『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の減少です。以下、イライラと不安のそれぞれの原因に焦点を当てていきます。
イライラしてしまう原因
卵胞ホルモンが減少すると、『セロトニン』が減少し、『ノルアドレナリン』『ドーパミン』などの調節に問題が起こりやすくなります。
セロトニンとは、不安の軽減や感情のコントロールを助け、心を落ち着ける役割を持つ神経伝達物質です。
卵胞ホルモンの減少によって分泌が低下すると、それに合わせて物事に対してのやる気や意欲を出すノルアドレナリンやドーパミンの調節が難しくなり、「すぐにイライラする」「他人に対して攻撃的になってしまう」などの心の不調が目立つようになります。
不安が出る原因
不安を感じる場合にも、卵胞ホルモンの減少によるセロトニンの減少が関係しています。セロトニンの分泌が十分に行われなければ、私たちは心を穏やかに保つことが困難になるためです。
また、一般的に更年期を迎える年齢の女性は、家族の問題や子供の自立、容姿の変化や仕事でのキャリアなど、さまざまなストレスを抱えやすい傾向にあります。このようなストレスが引き金となり、不安を感じるケースも少なくありません。
不安障害やうつ病に注意
更年期特有の症状の不安には、不安障害やうつ病などのほかの病気が隠れているケースもあるため、注意が必要です。
- 毎日、ずっと不安を感じている
- 物事に対して不必要なレベルで不安になってしまう
- 心が落ち着かず、集中力がなくなっている
- 疲れやすさや身体の緊張の強さが気になる
などの症状が見られる場合には、「更年期だから」と見過ごさず、医療機関を受診しましょう。
更年期のイライラと不安への対処法
多少の個人差はあるものの、更年期による心と身体の不調は多くの女性が経験するものです。
しかし、「更年期だから仕方がない」「みんな悩んでいる症状だから」と放置していると、日常生活に支障が出る結果にもなります。更年期を迎えても快適な毎日を過ごすには、適切な対処法で心の不調と向き合うことが大切なポイントです。
更年期のイライラと不安への対処法には、医療機関での治療と個人でできるケアがあります。
医療機関での治療
病院・クリニックなどの医療機関では、『ホルモン補充療法』『漢方』『向精神薬』『精神療法』などの方法が選択されます。
ホルモン補充療法
漢方薬とともに、更年期症状への治療法としてメジャーとなっている方法です。閉経に伴って減少する女性ホルモンを補い、心身の不調を緩和させていきます。自律神経の乱れや抑うつなど、心の不調を和らげるのに役立ちます。
漢方
副作用を避けたい場合やなるべく自然な方法で更年期症状に対処したい場合には、漢方薬が使われます。東洋医学の観点からその人の体質を見極め、体質改善を目的に治療を進めていくことが特徴です。
女性外来や更年期外来だけでなく、漢方外来や漢方薬でも処方してもらえます。
向精神薬
ホルモン補充療法をはじめとするほかの方法で緩和が期待できない場合には、向精神薬が使われるケースが多いです。抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などが処方されます。症状が落ち着くまで様子を見ながら、薬を使用していく形になります。
精神療法
女性外来や更年期外来に勤務するカウンセラーに相談する、精神療法も更年期によるイライラと不安に役立ちます。現在の心の辛さを聞いてもらい、心を軽くすることが目的です。
そのほか、『森田療法』『認知行動療法』『自律訓練法』『家族療法』など、心の整え方や行動を見直す方法で、イライラと不安に向き合う方法も選択されます。
個人でできるケア
医療機関での治療と同時に、普段からご自分でできるケアを続けることも、イライラと不安を緩和するためには必要なポイントです。サプリメントやアロマ、食事改善、生活改善で、更年期による心の不調を解決できます。
サプリメント、アロマ
大豆イソフラボン由来の『エクオール』サプリメントは、更年期に失われる女性ホルモンを補ってくれることで知られています。ビタミンやミネラルなどのサプリメントも、更年期症状緩和に役立つアイテムです。
『クラリセージ』『サイプレス』『バジル』『ゼラニウム』『真正ラベンダー』などのアロマオイルは、女性ホルモンと似た作用をもたらすことで知られています。マッサージやバスタイムに使用すると心が安らぐため、積極的に活用してみましょう。
食事改善
神経の興奮を抑える『カルシウム』、カルシウムの代謝を助ける『ビタミンD』、卵胞ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンを含む食品を取り入れると、更年期症状を抑えることができます。
カルシウムは牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品のほか、ちりめんじゃこや鮭などから摂取できます。ビタミンDは日光を浴びるだけでも増やすことができるため、可能な限りは外出する機会を増やしてみましょう。大豆イソフラボンは納豆や豆腐、豆乳など、大豆製品に豊富に含まれています。
生活改善
早寝早起きで一日のリズムを整えることや適度な運動、ストレス対策、入浴などの生活習慣も、更年期症状の軽減をサポートしてくれます。規則正しい生活で身体を整え、症状による悪影響を抑え、快適な毎日につなげていきましょう。
治療環境の見直しも考えましょう
更年期の症状は非常に幅広いものがあり、緩和させるには専門家による治療が必要です。金銭的な負担が増えることが考えられるため、治療を始める際には環境の見直しも欠かさず行いましょう。
特に医療保険の見直しをすることで、治療中の金銭的負担を軽くできます。金銭的、体力的、精神的なストレスをできる限り抑え、健康的で楽しい更年期を過ごせるように準備しましょう。