更年期、こころの不安感が出たら?
症状と原因、対処方法

精神神経系の症状
20/12/24
更年期、こころの不安感が出たら?<br />症状と原因、対処方法

45歳前後から、「胸の中がザワザワする」「理由はわからないが、不安感に悩むようになった」「いつも不安に襲われ、安心できる時間がない」などの心の不調が見られる場合、更年期症状が出ている可能性が考えられます。

このような症状を放置していると、毎日の生活の質が下がるリスクが出てくるため、注意が必要です。また、適切な治療やケアを始めることで症状の軽減もできるようになることから、早い段階からの行動と対策が欠かせません。

今回は、更年期による不安感の症状と原因、対処方法について解説します。

不安感の症状

不安感の症状は、

  • 心がザワザワと騒がしくなり、落ち着かない
  • わけのわからない不安感が出てきて、なかなか消えていかない
  • 漠然とした不安にいつも悩まされている

 

などというものがあります。不安に感じられるような理由がなくても、心の安定感を保てないことが特徴的です。

また、不安に加えて抑うつや思考力低下、疲労感や不眠などの症状があらわれるケースもあります。不安感が続く状態では正しい判断や思考が難しくなり、人間関係や生活の質にかかわるリスクも考えられるため、異常のサインを見逃さずに対策を始める必要があります。

不安障害やうつ病、全般性不安障害の可能性も

不安感に対して「疲れているだけだから」「そういう時期もある」と思い、症状をそのままにしてしまう方も少なくありませんが、時に不安感の原因に不安障害やうつ病のような病気が隠れているケースもあります。このような場合には専門家による治療が不可欠となります。

  • 日常生活を送っていて、出来事のほとんどに不安を感じる
  • 必要ではないのに不安を感じてしまい、いつも心配事が絶えない
  • 心の落ち着きがなくなり、集中力が失われている
  • 疲れやすくなった
  • いつも体が緊張している

 

などの変化に心当たりがあるのなら、1日でも早く医療機関を受診し、現在の状態を確認しましょう。

不安感の原因

45歳前後になってから不安感が出ている場合は、更年期による体の変化が原因だと考えられます。

更年期には心の不調があらわれやすくなる

女性の体では、一般的に10代から20代までの『思春期』で女性ホルモンの働きが活性化し、20代から40代までの『性成熟期』で女性ホルモンの働きはピークを迎えます。40歳以降では、女性ホルモンの分泌が低下し始める『更年期』に入っていき、60代以降の『老年期』で女性ホルモンの分泌がされなくなります。

女性ホルモンが最大限に働く性成熟期と分泌されなくなる老年期のあいだの更年期は、女性ホルモンの分泌低下に体が慣れる時期です。
しかし女性ホルモンの分泌低下に体は対応しきれず、また女性ホルモンは女性の体を健康的に保つために重要な役割を担っているため、このような変化による体と心の不調『更年期症状』が避けられなくなります。不安感も数ある更年期症状の一部で、精神的な症状として目立つようになります

このように、更年期には体力的・精神的に数多くの問題が起こりやすくなるため、以前よりも一層体調管理を意識することが必要です。

女性ホルモン『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の分泌低下が原因

更年期によって卵巣機能が低下すると、女性ホルモン『卵胞ホルモン(エストロゲン)』が減少します。

卵胞ホルモンは、妊娠や出産などだけでなく、コラーゲンの精製や血管の保護、骨や筋肉、脳内神経伝達物質の管理など、女性の健康のためには欠かせない女性ホルモンです。
ここで卵胞ホルモンが減少すると、精神を安定させるための『セロトニン』の分泌も難しくなります。
精神状態が安定しなければ心を穏やかに保つことができなくなるため、なかなかおさまらない不安感に悩まされるようになってしまうのです。

更年期のセルフチェック

現時点で出ている不安感と更年期を結び付けるには、更年期のほかの症状が出ていないかを確かめてみることをおすすめします。

  • 顔のほてりが出るようになった
  • 汗をかきやすい
  • 腰や手足の冷えが目立つ
  • 息切れ、動悸が出ることが多くなった
  • 睡眠の質が低下している(寝つきの悪さ、眠りの浅さなど)
  • すぐに怒ったりイライラしたり、心が落ち着かない
  • 頭痛、めまい、吐き気に悩むようになった
  • 以前よりも疲れやすくなった

 

上記の症状も同時に起こっているのなら、更年期が原因で不安感が出ていると言えます。日常生活に支障が出る『更年期障害』にまで悪化させないよう、今からでも対策を考えましょう。

生活習慣によるストレスが原因となるケースも

更年期に起こる環境の変化が、不安感を引き起こすこともあります。

例えば、夫婦関係や介護、子供の自立などをはじめとする家庭環境の問題、親しい人の病気や死、容姿の変化や職場での出世など、更年期を迎える年齢の女性には多くの変化が訪れます。これらの変化によって人生への疑問や不満、喪失感、死や老いへの実感などがあらわれ、不安感が強まるケースも多いです。

更年期の不安感への対処方法

更年期に不安感が目立つ場合は、まずストレスが溜まらないような生活を心がけ、必要に応じて医療機関の治療を受けましょう。

生活習慣の改善や心のケアで、不安感を軽減

不安感だけでなく、更年期症状を軽減するには、毎日の生活改善が必要です。

  • 早寝・早起きで、規則正しい1日を送る
  • 和食を中心に、栄養バランスの良い食事を続ける
  • 適度な運動を取り入れる
  • 自分のペースを守り、無理をせず、ストレスを抱えない生活を意識する
  • 湯船につかる習慣で、体の冷えを防ぐ

 

このような5つの生活改善で、不安感を緩和できるようになります。体の状態から心の健康を整え、前向きな気持ちで毎日を過ごせるように努力しましょう。

趣味の時間を増やすことや、アロマテラピーの活用も、心を落ち着けて気分を良くするためには役立つ手段です。毎日の生活に楽しみを見出し、不安感を防ぎましょう。

病院・クリニックで行われる治療

生活習慣をベースにしたケアに加え、医療機関での治療が必要になるケースもあります。更年期による不安感が目立つ場合、『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』『向精神薬』『精神療法』などが選択されます。

ホルモン補充療法とは、更年期によって失われる女性ホルモンを人為的に補い、症状を和らげるための方法です。即効性があるうえに更年期の幅広い症状に対応できるというメリットから、更年期への治療法としてはメジャーな方法です。ホルモン補充療法の副作用が気になる場合や体質改善によって症状緩和を目指したい場合には、漢方による治療法が適しています。

心療内科での治療も役立ちます

また、不安感のような精神的な症状には、向精神薬や精神療法も適切な治療法です。向精神薬では不安感の軽減に特化した薬が処方され、精神療法では考え方や行動を整えることで精神的な症状を和らげていきます。ストレスは更年期症状を悪化させる一因にもなりますので、不安感が目立つ場合にはこのような治療法も検討しましょう。

医療保険の見直しで、治療費の軽減も考えましょう

心身ともに不安定な状態になる更年期には、個人でできるケアと医療機関での治療によって上手に対応する必要があります。しかし医療機関で治療を受ける場合、例えばホルモン補充療法なら月に1,000円から5,000円など、金銭的な負担が増えることも事実です。

金銭的な負担が新たなストレスの原因なることを防ぐには、医療保険の見直しを検討することをおすすめします。ご自分にとって金銭的な負担が少ない環境が整っていると、治療に対して気持ちが前向きになり、症状緩和に専念できるようになります。

あらゆる面においてストレスが少ない環境で、更年期を快適に過ごせるように、今から準備を始めましょう。

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