更年期にほてりが出る?!
ホットフラッシュの原因・症状と対処方法
「今までにはなかったのに、突然顔がほてるようになった」「下半身は冷たくても、上半身が熱い」「汗をかくことが多くなった」などの症状が出ている場合、『更年期』による『ホットフラッシュ』である可能性が高いです。
更年期症状は閉経を迎える多くの女性に訪れる症状ですが、適切な対策をとらなければ日常生活に悪影響が及ぼされるほどに悪化するリスクもあります。心身ともに不調が多くなる更年期も、必要に応じた治療や毎日のケアによって軽快させられるため、早めの行動が欠かせません。
今回は、ホットフラッシュの症状や原因、対処方法について解説します。
のぼせやほてり、汗が出るホットフラッシュ
ホットフラッシュとは、
- 何の前触れもなく、顔全体や首筋、頬にかけて熱くなる
- 下半身が冷えているのに、上半身だけは過剰に熱い
- 突然顔が赤くなったり、のぼせたような感覚を覚えたりする
などの状態があらわれることです。
また、のぼせやほてりに加えて発汗が起こるケースも少なくありません。環境や時間帯に関係なく、急にたくさんの汗が噴き出すようになります。例えば真冬に電車に乗っていると大量の汗をかき、周囲に見られそうになって恥ずかしく思う女性も多いほどです。
睡眠の質に影響が出るリスクも
のぼせやほてり、発汗などが出るホットフラッシュは、体調の違和感だけでなく睡眠の質を下げてしまうリスクもあります。「就寝してから時間がたつと、上半身がほてり始めて大量の汗が噴き出す」という不調が就寝中に頻繁に起こり、結果的に十分な睡眠がとれなくなるためです。
寝不足は心身の健康を脅かす原因でもあることから、ホットフラッシュによって睡眠の質に影響が出ている場合は早めの治療が必要です。
ホットフラッシュの原因
一般的に、45歳前後でホットフラッシュの症状が出始めた場合、更年期による体調の変化が原因だと言えます。
更年期には体の不調が出やすくなる
更年期では、卵巣機能の低下により、女性の健康を支えていた女性ホルモンの一つ『卵胞ホルモン(エストロゲン)』が減少します。一般的に、45歳から55歳の女性に起こりうる体の変化としても知られています。
更年期では卵胞ホルモンの減少が起こりますが、45歳前後になったからといって卵胞ホルモンが分泌されなくなるわけではありません。最後に月経を迎えてから1年たっても生理が来なくなり、ここで閉経が起こります。閉経につれて卵巣からの排卵自体はなくなるものの、卵胞ホルモンの分泌は終わってはいません。
しかし、20代から40代にかけての『性成熟期』よりは分泌が少なくなるため、その影響を受けた体がさまざまな不調を起こすようになります。これによって出始める症状が『更年期症状』であり、ホットフラッシュは更年期を過ごす女性にとっては典型的な症状です。
卵胞ホルモンの減少が原因
のぼせやほてり、発汗のようなホットフラッシュの原因は、更年期による卵胞ホルモンの変化による現象です。
更年期を迎えると、卵胞ホルモンの分泌が急激に減少します。卵胞ホルモンは妊娠や出産などだけでなく、筋肉や骨、自律神経、脳内神経伝達物質などの状態を正常に保つ役割があることから、減少に応じて女性の体調が不安定になります。
ホットフラッシュに関しては、卵胞ホルモンの減少によって脳の視床下部が混乱し、自律神経の調節機能に問題が生じることが原因だと考えられています。
更年期障害に注意しましょう
ホットフラッシュのような更年期症状の程度は、女性一人ひとりによって変わるケースがほとんどです。深刻な状態にならずに更年期を乗り越える女性もいれば、体調が落ち着かない状態で過ごす女性も少なくありません。
更年期がやってくる45歳から55歳のあいだは、子供の独立や介護、夫婦関係の問題のような家庭環境の変化、職場での立場の変化、容姿の衰えなど、悩みが多い時期です。その時期に更年期症状が重なると、やがて生活に支障が出る更年期障害にまで悪化するリスクが高まってしまいます。
そのようなリスクを避けるためにも、わずかな症状でも見逃さずに早めに治療を始めることが大事です。
更年期症状のセルフチェック
更年期症状には、40代半ばの早い時期にみられるものと50代半ば以降からの遅い時期にみられるものがあります。ホットフラッシュは早い時期に見られる症状の一つであり、不眠やめまい、不安、憂うつ、怒りやイライラ感とともにあらわれるケースが多いです。
- 手足や腰が冷える
- 息切れや動悸がする
- 眠れない日が続いている
- すぐにイライラしたり、怒ったりするようになった
- 憂うつな気分が続き、くよくよしてしまう
- 頭痛や吐き気、めまいが辛くなっている
- 疲れやすい
ホットフラッシュのほかに以上のような症状が出ているのなら、更年期症状が起きていると考えられます。症状悪化や更年期障害を防ぐためにも、更年期症状が出始めたら医療機関を受診し、必要な治療を始めましょう。
また、甲状腺機能亢進症や高血圧、心臓病などの病気がのぼせやほてりを引き起こしているケースもあります。ほかの病気のサインを見逃すことがないよう、気になる症状がある場合は早めに医療機関で検査を受けましょう。
更年期によるホットフラッシュへの対処方法
更年期症状のホットフラッシュを緩和させるには、医療機関での治療と毎日の生活習慣の改善が必要です。
医療機関での治療
医療機関では更年期症状に対し、『ホルモン補充療法(HRT)』と『漢方』が主に使われています。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、ホットフラッシュの緩和には優れた効果を発揮する方法です。更年期によって失われる女性ホルモンの分泌を、専用の薬剤で補います。
ホルモン補充療法の服用方法は、女性一人ひとりの症状や状態に合わせて使い分けられます。作用が強いものから穏やかなもの、投薬期間やタイミングも変わってきますので、処方される際には詳しい情報をしっかりと聞いておきましょう。
なお、ホルモン補充療法は副作用が出ることで心配されていますが、服用に慣れていくと軽快していきます。治療費は症状によって異なりますが、一般的な相場は月に1,000円から5,000円です。
漢方
ホルモン補充療法が受けられない場合や副作用に抵抗がある場合には、漢方が選択されます。
ホルモン補充療法と比べて薬の効き目は穏やかになりますが、体質改善を目的としているため、症状はもちろん体調も良くなることがメリットです。もちろんホットフラッシュを緩和させる薬もあり、更年期外来や女性外来、漢方外来や薬局で処方してもらえます。薬局で購入する場合は漢方に詳しい薬剤師に相談し、体質や症状に合った薬を紹介してもらいましょう。
個人でできるケア
ホットフラッシュを緩和させるには、毎日の生活習慣による体調管理も必要です。
特に体の冷えやストレスを防ぐため、
- 早寝早起きを心がける
- 栄養バランスが整った食事をとる
- 適度な運動を続ける
- ストレス管理を心がける
- 毎日湯船につかり、冷えを防ぐ
など、体と心を健康的な状態に保つための生活改善は必要不可欠です。
また、大豆製品を積極的に取り入れることやサプリメント『エクオール』も、ホットフラッシュの緩和を助けてくれます。
女性ホルモンの分泌が低下する更年期だからこそ、同じような働きをする大豆製品やエクオールを体内に補いましょう。
心を落ち着けることもホットフラッシュの緩和に役立ちます。体が熱くなってきたらゆっくりと腹式呼吸をして、焦りやパニックを抑えましょう。
適切な治療環境を整え、更年期症状に備えましょう
以上、更年期に起こりうるホットフラッシュについてお話ししました。更年期はホットフラッシュだけでなく心身ともに多くの症状が出てくるため、医療機関での治療と毎日の生活改善が求められます。
医療機関での治療で金銭的な負担が増える場合には、医療保険の見直しを検討しましょう。金銭的な負担を軽減することで、治療に対して前向きな気持ちが芽生え、症状緩和に遷延できるようになります。ホームページやサイトから情報を集め、ご自分に合った保険を探すことをおすすめします。
体調が不安定な時期が長く続く更年期のためにも、健康的でいられる環境を整えましょう。