更年期に喉が渇く?!
症状と原因、対処方法

皮膚・分泌系の症状
21/03/22
更年期に喉が渇く?!</br>症状と原因、対処方法

一時的ではなく、喉が渇いた状態が数か月以上続いているのなら、何らかの病気を疑う必要があります。特に45歳前後で喉の渇きを感じているのであれば、更年期症状が原因である可能性が高いです。

喉の渇きだけにとどまらず、更年期は心身ともに多くの不調があらわれる、女性にとってはとても苦しい時期です。しかし、適切な治療やケアを心がけていれば、症状を緩和することは決して不可能ではありません。だからこそ、医療機関での治療と生活習慣の改善を取り入れ、生活への影響を最小限に抑える必要があります。

今回は、更年期における喉の渇きの症状や原因、対処方法について解説します。

喉の渇きの症状

緊張しているときや興奮状態にあるときの一時的な喉の渇きは、多くの方が経験していることです。しかし、その状態が数か月単位で続いている場合には、病気との関連性を疑う必要があります。

    • 異常に喉が渇くようになった
    • 口の渇きが気になる
    • 食べ物をうまく飲み込めないときがある
    • 以前と比べてしゃべりづらくなった

 

などの症状に心当たりがある場合には、生活への支障が生じるリスクがあるため、早めの対応が必要です。

ドライマウスに注意しましょう

喉の渇きは、特に『ドライマウス』が関係している可能性も考えられることから、放置は危険です。

ドライマウスとは、唾液の分泌量低下によって口のなかが乾燥した状態になることです。口のなかが渇くだけでなく、粘つきや舌の痛み、食べ物を飲み込めない、口臭など、さまざまな不調が目立つようになります。

唾液は私たちの口のなかを清潔に守るために重要な役割を担っています。その唾液の分泌が低下するドライマウスでは、感染症をはじめとする病気のリスクが高まることも事実です。喉の渇きを感じたら、ひどくなる前に医療機関を受診し、現時点での状態を確認しましょう。

更年期に喉が渇く原因

喉が渇く原因には、糖尿病や脳出血、シェーグレン症候群などの病気が見られるケースが多いですが、45歳から55歳にかけて発症している場合、更年期が関係している可能性が考えられます。

更年期には心身の不調が出やすくなる

更年期とは、一般的に45歳から55歳の女性が経験する体の変化です。

女性の健康は、ほとんど一生を通じて女性ホルモンの働きによって支えられています。10代から20代までの『思春期』で女性ホルモンの働きが活性化され始め、20代から40歳までの『性成熟期』で最大限に分泌される流れになります。

しかし、女性ホルモンの分泌はいつまでも続くわけではありません。平均的に40代半ばから迎える更年期では女性ホルモンの分泌が低下し始め、60代以降での『老年期』では分泌がほとんどなくなります。

性成熟期と老年期のあいだにある更年期は、性成熟期ではピーク状態にあった女性ホルモンの分泌低下を体が受け入れる時期です。それでも体にとっての負担は大きく、自律神経のバランスの乱れや冷えなどの問題が起こり、体力的・精神的な不調が多くなります。
更年期症状にはホットフラッシュや不眠、イライラ感や不安感など非常に多種類の症状が見られ、喉の渇きもその一つに数えられています。

卵胞ホルモンの減少により、唾液の分泌量が低下する

更年期を迎えると、女性ホルモンの一つ『卵胞ホルモン(エストロゲン)』が分泌されなくなります。卵胞ホルモンは妊娠や出産に関わりが深く、肌や髪などの女性の美しさをサポートしてくれる女性ホルモンとして知られていますが、筋肉や骨の状態改善、自律神経の機能調整など、全体的な健康面を支えるには欠かせないものです。

更年期によって卵胞ホルモンの分泌が少なくなると、これまで卵胞ホルモンの働きによって支えられていた唾液の分泌が少なくなり、常に喉が渇いた状態になります。
また、更年期障害を緩和するために薬物治療を受けた結果ドライマウスになり、そのストレスによって喉の渇きが悪化するケースも少なくありません。

更年期セルフチェック

現時点で感じている喉の渇きと更年期症状を結び付けるには、ほかの症状が出ていないかの確認が役立ちます。以下のリストから、同時に起こっている症状がないか振り返ってみましょう。

    • 顔がほてるようになった
    • 暑いところにいなくても汗をかいてしまう
    • 手足や腰が冷える
    • 息切れや動悸で悩んでいる
    • 以前より寝つきが悪くなった
    • くよくよし、憂うつな気分になる
    • すぐにイライラしてしまう
    • 頭痛やめまい、吐き気が出る
    • 以前よりも疲れやすくなった

 

上記の症状に1つ以上心当たりがあるのなら、喉の渇きと更年期症状の関係性が深いと言えます。更年期症状には医療機関での専門的な治療が必要となるため、少しでも体に異変を感じているのなら、早めに病院・クリニックで検査を受けましょう。

更年期による喉の渇きへの対処法

更年期になってからの喉の渇きを緩和させるには、個人でできるケアと医療機関での治療が不可欠です。

個人でできるケア

個人でできる健康管理には、こまめな水分補給と唾液を分泌させるための口腔ケア、マッサージがあります。

まず、喉の渇きをその場で緩和するため、こまめな水分補給を心がけましょう。利尿効果が強く、体内の水分を外に出してしまうお茶やコーヒーを避け、水を選ぶことをおすすめします。冷たい飲み物ばかりでなく、あたたかい飲み物をしっかり飲むことも大事です。

唾液の分泌が少なくなる時期には、これまで以上に咀嚼を意識することも役立ちます。食事には噛み応えのある食品を選び、しっかりと噛んで食べて唾液の分泌を促しましょう。レモンや梅干しなど酸味が強い食材を取り入れ、唾液を出す工夫をすることもおすすめです。

舌の付け根の下や顎の内側、耳たぶの下など、唾液腺とつながる場所をマッサージすることも、喉の渇きの緩和を助けてくれます。毎日の生活でケアを続け、不快な症状を軽減させましょう。

医療機関での治療

喉の渇きには普段の生活からのケアが欠かせませんが、更年期症状やほかの病気が隠れている場合は、医療機関での治療も同時に必要です。

更年期治療には、『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』をメインに、症状に合わせた方法が選択されます。即効性を求める場合や体質改善を期待する場合で方法も変わり、選ぶことも可能であるため、医師と相談しながらご自分の症状や希望に合わせた治療法を探していきましょう。

また、喉の渇きは口のなかの症状でもあるため、歯科治療の視点も必要になります。必要に応じて歯科医院・クリニックも受診し、適した治療法や検査を受けることも大切なポイントです。

医療保険の見直しで、ストレスの少ない更年期を送りましょう

更年期には喉の渇きをはじめ、体力的・精神的に不調が多くなります。体の変化が激しいこの時期を乗り切るには、医療機関での治療が必要です。

ただし、治療継続が金銭的な負担となる可能性も考えられるため、必要に応じて医療保険の見直しも検討しましょう。ご自分にとって負担の少ない環境を選ぶことで、治療や症状の緩和がよりスムーズになります。医療保険会社のホームページや資料で情報を確かめ、専門家に相談しながらご自分に合ったものを選択しましょう。

1日でも早い行動をすることで、更年期症状の緩和とより健康的な毎日が確かなものになります。今からでも準備を始め、心身ともに不安定になりやすい更年期に備えましょう。

この記事を監修している先生

時計台記念病院

藤井美穂先生

社会医療法人社団 カレスサッポロ 時計台記念病院
院長・女性診療科部長  藤井 美穂 MD・PhD

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