その食事は大丈夫?男性更年期障害を呼ぶ食生活とは?

男性の更年期とは
21/06/16
その食事は大丈夫?男性更年期障害を呼ぶ食生活とは?

男性更年期障害は食生活が大きく関係します。知らず知らずのうちに、男性更年期障害まっしぐらな食事ばかりとっている場合も。男性更年期障害を呼ぶおそれのある食生活と、男性ホルモンを上げる食生活について、詳しくご紹介します。

男性更年期障害と食生活の関係

男性更年期障害の主な原因となるのが、男性ホルモンの低下です。男性ホルモンの分泌量は、個人差が大きく、70代、80代でも20代のホルモン量を維持している人もいます。しかし反対に、30代で70代よりも低い男性ホルモンの量になっている人も。
この男性ホルモン量の差は、食生活や睡眠、運動などの生活習慣が大きく関係しています。生活習慣を変えて男性ホルモンの量をアップすれば、男性更年期障害の改善が期待できます。

男性更年期障害を呼ぶ食生活

男性更年期障害は、食生活が鍵を握っています。下記のような食生活を送っている方は、できるだけ早く改めたほうがいいでしょう。

頻繁に缶コーヒーを飲む

仕事中、眠気覚ましや集中力アップのためにコーヒーを飲む人は多いことでしょう。しかし、もしそのコーヒーが砂糖入りの缶コーヒーの場合は要注意です。
砂糖入りの缶コーヒー1本(190ml)の中には、スティックシュガー(3g)5~6本分の砂糖が含まれています。毎日、缶コーヒーを3本飲む習慣があれば、炭酸ドリンク(500ml)に匹敵する量の砂糖を毎日摂取していることに。
砂糖の摂りすぎは糖尿病を招き、糖尿病の人は男性ホルモンの値が低いことが分かっています。また、人工甘味料も男性ホルモンにはよくありません。
コーヒーを飲む際には、無糖にしたほうがいいでしょう。

コンビニや外食のローテーション

コンビニや外食で好きなものだけを食べる食習慣、身についていませんか?食事は5大栄養素である、たんぱく質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラルを補給することが大切です。
特に良質のたんぱく質や食物繊維、カルシウムやマグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルは男性ホルモンを上げる栄養素です。食事はお腹を満たすためだけでなく、必要な栄養素を摂るためであることを意識しましょう。

ビールの飲みすぎ

仕事終わりのビールは格別ですが、飲みすぎには注意しましょう。ビールの原料であるホップには、フィストロゲンという女性ホルモンに似た構造の物質が含まれており、男性ホルモンに影響を及ぼす可能性があります。
そのため、ビールを毎日数本飲むという習慣は見直したほうがいいですね。

男性ホルモンを上げる食生活

男性ホルモンは食生活で上げられます。栄養バランスの整った食事をとることに加え、どんな食生活を送ればいいのでしょうか?

男性ホルモンを強化する食材を毎日とる

下記の食材は、男性ホルモンの分泌をアップさせる効果が知られています。積極的に食べましょう。

・セレンを多く含む食材
セレンは、亜鉛やビタミンEとともに、からだの酸化を防ぐ抗酸化作用を持つ栄養素で、男性ホルモンの分泌をアップする効果があります。玄米や雑穀入りのごはん、長ネギ、玉ねぎ、牡蠣、イワシなどの青魚の摂取が効果的です。
ただし、大量に摂ると中毒症状を引き起こす可能性があるため、サプリメントの摂りすぎには注意しましょう。

・硫化アリルを多く含む食材
硫化アリルは、疲労回復効果や免疫アップ効果、生活習慣病を予防する効果があり、男性ホルモンの増加効果があることが知られています。玉ねぎや長ネギ、ニラ、ニンニクなどに多く含まれています。

・必須アミノ酸を多く含む食材
必須アミノ酸には、男性ホルモンの増加効果があり、筋肉量のアップにも必要な栄養素です。卵、牛肉、豚肉、鶏肉、赤身の魚などに多く含まれています。

・アブラナ科の野菜
アブラナ科の野菜は、女性ホルモンを抑制する効果があり、男性ホルモンの促進を助けます。キャベツやカイワレ大根、カリフラワー、小松菜などに多く含まれています。

玉ねぎ料理を食べる
玉ねぎは、セレンや硫化アリルを多く含み、LOH症候群の予防・改善に最適な食材です。意識的に摂取することで、辛い症状の改善に効果を発揮してくれることでしょう。玉ねぎをスープに入れたり、カレーに多めに入れるのもいいですね。

肉を食べるなら焼肉で
肉は、良質なたんぱく質を摂取するのに必要な食材です。さらに、焼肉メニューに不可欠なニンニクやネギ、玉ねぎ、ニラなどのにおいの強い食材は、精力を高めることで知られる食材です。焼肉とともにこれらの食材を多くとれば、男性ホルモンアップに効果的でしょう。

食べたものがからだを形作る

10代・20代の若いころは、食生活に気を使わなくてもそこまで太ることもなく、からだへの影響を感じないかもしれません。
しかし、食生活に気を使わないままでは、30代を迎える頃には体型や健康の維持が難しくなってきます。男性ホルモンの低下を防ぐためにも食生活を見直すことが必要です。
ぜひ、男性ホルモンを上げる食生活を意識して行いましょう。

お互いを呼び合う「男性更年期障害」と「メタボ」!この関係を断ち切るには?

固い絆で結ばれている男性更年期障害とメタボリックシンドローム(通称 メタボ)。この2つを放置すると、命に関わる病気へと進行する可能性があります。
男性更年期障害とメタボの関係を断ち切る方法をご紹介します。

男性更年期障害とメタボリックシンドロームの関係

男性更年期障害とメタボとの関係を見てみましょう。

男性更年期障害とは

更年期障害は、性ホルモンの低下に伴って、日常生活に影響を及ぼすような辛い症状がみられる状態です。イライラがコントロールできず周りにあたってしまったり、疲労がとれず仕事に支障をきたしたりといった状態も、男性更年期障害の可能性があります。
男性更年期障害の主な原因は、男性ホルモンの低下です。そのほか、加齢やストレス、内臓機能の低下などが原因として挙げられます。
男性ホルモン(テストステロン)の低下が原因の場合は、「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」と呼ばれます。

メタボリックシンドロームとは

内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさった状態で、心臓病や脳卒中などになりやすいです。単純にお腹周りが大きいというだけでは、メタボリックシンドロームとは言いません。
日本では、ウエスト周り(おへその高さの腹囲)が男性の場合は85cm・女性の場合は90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、メタボリックシンドロームと診断されます。
このメタボリックシンドロームは、テストステロンの低下によってリスクが高まります。

男性更年期障害がメタボの要因に

テストステロンが低下すると、筋肉量の減少や代謝の低下、内臓脂肪の増加などを招き、メタボリックシンドロームになりやすくなります。さらにその状態が続くと、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を発症しやすくなります。
また、見た目もお腹が出た体型となり、男性としての魅力も下がってしまうことに。男性としての自信が低下すれば、男性ホルモンの低下を助長し、うまくいかないと感じることが増えることもあるでしょう。
このように、男性更年期障害とメタボリックシンドロームの悪循環が続くため、この流れを断ち切ることが必要です。

男性更年期障害とメタボリックシンドロームの関係を断ち切る方法

男性更年期障害とメタボリックシンドローム、悪循環するこの2つの関係を断ち切る方法が下記の2点になります。

生活習慣を変える

男性更年期障害もメタボリックシンドロームも、生活習慣を変えることで改善が期待できます。改善内容としては、食生活と運動が重要になります。

・食生活の改善
コンビニや外食中心の食生活は避け、栄養バランスの整った食事をとることが大切です。また、男性ホルモンの増加に効果的な玉ねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニク、キャベツ、カイワレ、卵、肉類、魚類などの食材を意識的に食べましょう。肉類に偏りすぎないよう、食材を上手に取り入れることが大切です。
食生活の改善方法は、詳しくは「その食事は大丈夫?男性更年期障害を呼ぶ食生活とは?」をご覧ください。

・運動習慣を取り入れる
運動習慣を取り入れることは、男性更年期障害とメタボリックシンドロームの改善に効果的です。特におすすめなのが、有酸素運動です。
ウォーキングなどの有酸素運動を行うことで、男性ホルモンの増加効果や、内臓脂肪の減少効果が期待できます。
目安としては、通勤などで歩く量を1週間でトータル90分多くしましょう。1日に換算すると、毎日13分多く歩くことになります。休日にまとめて90分歩くのもいいですね。

男性更年期障害の治療を受ける

男性更年期障害の症状が辛い場合や、生活習慣を変えても症状に変化が見られない場合は、医療機関を受診しましょう。
受診して必要な検査を受けることで、治療が必要な状態かがわかります。
検査の結果、下記の条件を満たす場合、男性ホルモンを注射で増やす「男性ホルモン補充療法(ART)」の適応になります。

①原則40歳以上(20代でも著しく男性ホルモンが低い場合は適応になる場合あり)
②男性ホルモン値が基準値よりも低い
③LOH症候群(男性更年期障害)の症状がある
④重篤な基礎疾患(前立腺がんや肝機能・腎機能・心機能の異常、睡眠時無呼吸症候群など)がない

男性ホルモン補充療法は、2~4週間ごとの筋肉注射や、陰嚢への軟膏の塗布などの方法があります。
男性ホルモン補充療法を受けることで、男性ホルモンの低下が改善されれば、男性更年期障害とメタボリックシンドロームの両方の改善に繋がるでしょう。

男性更年期障害とメタボリックシンドロームは早めに対処を

男性更年期障害とメタボリックシンドロームの関係を断ち切るには、生活習慣を変えること、適切な治療を受けることが大切です。
生活習慣の改善はできるところから少しずつ目標を立てて変えていきましょう。ひとつ達成するごとに成功体験の積み重なり、この体験が男性ホルモン増加に繋がります。
ぜひ、「一駅歩く」「休みの日に自炊する」など、できるところから始めてみましょう。

参考文献

なぜ一流の男は精力が強いのか? 岡宮裕 著

参考URL

加齢男性性腺機能低下症候群 診療の手引き
www.mens-health.jp/wp-content/uploads/2018/08/LOHguidelines.pdf

飲み物の砂糖の含有量
koike-hc.com/wp-content/uploads/ganyuuryo.pdf

糖尿病だより
himeji.hosp.go.jp/dep/tonyo/images/no34.pdf

男性更年期障害
www.f.kpu-m.ac.jp/k/jkpum/pdf/119/119-6/sou.pdf

日本産科婦人科学会 更年期障害 
www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14

厚生労働省 メタボリックシンドロームとは?
www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html

厚生労働省 メタボリックシンドロームの診断基準
www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html

順天堂大学医学部附属順天堂医院 泌尿器科 メンズヘルス外来
juntendo-urology.jp/examination/mens_health/

厚生労働省 内臓脂肪減少のための運動
www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html

 

この記事を監修している先生

代官山パークサイドクリニック

岡宮裕先生

代官山パークサイドクリニック院長

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