更年期に頭痛が出るようになった!?
症状と原因、対処方法

精神神経系の症状
21/03/22
更年期に頭痛が出るようになった!?<br />症状と原因、対処方法

一般的に45歳から55歳の女性に起こる更年期は、女性ホルモンの分泌の低下により、さまざまな体と心の不調が出やすくなります。更年期が原因で起こる不調には幅広いものがあり、頭痛もそのうちの一つです。

更年期による頭痛は、適切な治療とケアを続けることで十分に緩和させられます。また更年期症状が悪化すると、生活に支障が出るほどの『更年期障害』にまで発展するリスクも高くなるため、対策を怠ることは危険です。

今回は更年期による頭痛の症状と原因、対処法について解説します。

更年期による頭痛の症状

女性は45歳前後になると、月経の終わり『閉経』を迎えます。
卵巣機能の低下が進み、女性ホルモンの分泌が低下するためにさまざまな症状が出てきます。やがて50歳前後で閉経を迎えますが、女性ホルモンの分泌は完全にはなくなっていません。それでも女性ホルモンの分泌は更年期前よりも少なくなっているため、体がその変化に適応しきれなくなります。多くの不調は、血管の収縮と拡張を支えるなどの機能を持つ自立神経のバランスが崩れることが原因で起こります。

片頭痛と緊張型頭痛が起こりやすくなる

更年期による頭痛で多いものは、『片頭痛』『緊張型頭痛』です。
片頭痛は、「頭の片側にズキズキと脈打つような痛みを感じる」「光や音に対して、過剰に反応するようになる」「歩いているときや階段を上り下りしているときに、症状が悪化する」「吐き気をもよおす」などの症状が目立ちやすくなります。 「後頭部を締め付けられるような」痛みを伴う『緊張型頭痛』も慢性的な頭痛に当てはまりますが、更年期には緊張型頭痛よりも片頭痛が出るケースが多いです。

更年期症状のセルフチェックをしてみましょう

頭痛と更年期を関連付けるには、更年期特有のほかの症状が出ていないかを確認すると、わかりやすくなります。

    • 顔のほてりや汗のかきやすさが気になる
    • 腰や手足が冷えやすくなった
    • 息切れや動悸が出ている
    • 寝つきの悪さや睡眠の質の低下に悩んでいる
    • 怒りやすくなり、すぐにイライラしてしまう
    • 気分が落ち込み、憂うつになるときが多い
    • めまいや吐き気が良く出る
    • 疲れやすくなった

     

    頭痛のほかに上記のような症状に心当たりがある場合、更年期によって体が影響を受けていると言えるでしょう。症状が悪化しないうちに医療機関を受診し、検査や治療を受けるようにしましょう。

    更年期に出る頭痛の原因

    更年期症状の一つである頭痛は、更年期の早い時期に目立ちやすくなります。女性ホルモンの分泌低下に体が反応し、自律神経のバランスに乱れが生じることによって、頭痛に加えてのぼせやほてり不眠やめまい、不安やイライラ感など、体力的・精神的な不調が出始めるようになります。

    卵胞ホルモンの減少が、頭痛を引き起こす

    更年期に起こる頭痛の原因は、片頭痛の場合、『卵胞ホルモン(エストロゲン)』の減少です。

    卵胞ホルモンは妊娠や出産のほかにも、血管や筋肉、骨や脳内神経伝達物質などの状態を正常に保つために重要な働きをしていますが、更年期には卵胞ホルモンの分泌が少なくなります。卵胞ホルモンは血管の収縮と拡張をつかさどる脳内神経伝達物質『セロトニン』との関係性が深いため、卵胞ホルモンが減少すると血液中のセロトニンも不足します。結果、血管の収縮が困難になって脳の血管が異常に拡張して痛み物質が発生することにより、片頭痛が起こりやすくなってしまうのです。

    危険な頭痛に注意しましょう

    頭痛は更年期によく起こる症状として知られていますが、『脳腫瘍』『クモ膜下出血』『薬剤誘発性頭痛』『睡眠時無呼吸症候群』など、危険な病気が隠れているケースもあります。

    このような頭痛が見られる場合は、命の危険にかかわるリスクを無視できなくなるため、楽観視や放置は危険です。特に「急にひどい頭痛に悩まされるようになった」という異変が出ているのなら、できるだけすぐに脳神経外科の診察を受けましょう。

    更年期の頭痛への対処法

    更年期による頭痛への対処法としては、例えば片頭痛なら「明かりが少なく静かな場所で過ごし、患部を冷やす」、長時間の同じ姿勢や疲労が原因となる緊張型頭痛では「血流を上げるために首筋や肩のマッサージや体全体のストレッチ、凝りのある部位を温める」などの方法で症状を和らげることができます。

    しかし、頭痛が続くと心身ともにストレスが強まっていくため、専門家による治療と生活習慣を基盤としたケアが必要です。

    医療機関での治療

    医療機関では、更年期に対する治療法として、主に『ホルモン補充療法(HRT)』『漢方』が使われます。

    ホルモン補充療法

    ホルモン補充療法は、更年期によって減少する女性ホルモンを専用の薬剤で補うことを目的とした方法です。薬の種類や投薬期間、タイミングなどは、女性一人ひとりの体調や症状に合わせて変わります。

    ホルモン補充療法は、

    • 自律神経失調症による症状が緩和される
    • 精神的な不調が抑えられ、毎日を明るく過ごせるようになる
    • 肌や髪の潤いが保たれ、良い状態に整う
    • 頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁は改善されることが多い※
    • 膣粘膜の痛みや炎症が緩和される
    • 骨粗しょう症、動脈硬化などを予防できる
    • 認知機能を正しい状態に維持できる
  • ※女性下部尿路症状診療ガイドラインでは腹圧性尿失禁に対してエストロゲン単独療法では有効性が認められないと結論するメタアナリシスを引用し記載しています。女性下部尿路症状に対してホルモン補充療法は推奨されるか? 過活動膀胱の諸症状に対しては,経口投与に比べ腟内投与で有効とする報告がある(レベル1)。腹圧性尿失禁についてはホルモン補充療法単独では有効性が低く,逆に失禁を悪化させることもある。

     

    など、体力的・精神的な症状はもちろん、早い時期の症状から遅い時期の症状にまで幅広く対応できることがメリットです。また即効性にも優れているため、更年期治療に対する方法としては非常に役立つ方法だとも言えます。

    一方、性器出血や乳房緊満、嘔吐、食欲不振などの副作用が出るケースもありますが、それらは時間がたつにつれて目立たなくなります。ただし、子宮体がんや乳がん、肝機能障害などの病気を抱えている場合はホルモン補充療法を受けられなくなるため、必ず事前に医師に確認しましょう。

    ホルモン補充療法の治療費は人によって変わるものの、1か月に1,000円から5,000円が一般的な相場だとされています。

    漢方

    漢方は、ホルモン補充療法と同じように更年期治療の主軸となり、確かな治療効果を発揮しています。また漢方は副作用のリスクが低いこともあり、ホルモン補充療法に抵抗感を覚える場合や受けられない場合にも役立つ手段です。

    漢方では体と心を体系づける『心身一如』の考えをもとに、一人ひとりの体格や体質に合わせて薬を処方し、体質改善を目指していきます。

    そのため、

    • 冷え性で、血行不良やむくみが目立つ人には『呉茱萸湯(ごしゅゆとう)』
    • 強い冷えと血の不足が目立つ人には『当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)』
    • 冷えが見られず、口の渇きや水分の摂りすぎが目立つ人には『五苓散(ごれいさん)』

     

    など、処方される薬は人によって異なります。漢方薬は女性外来や更年期外来、漢方外来のほか、漢方に詳しい薬剤師が在籍する薬局で処方してもらえるため、積極的に活用してみましょう。

    個人でできるセルフケア

    医療機関での治療に合わせ、生活改善によって体を健康な状態に保つことも、更年期症状の緩和には欠かせないポイントです。規則正しい食事や運動の習慣、ストレスをためない生活を心がけましょう。

    大豆製品やサプリメント『エクオール』で症状を緩和

    豆腐や納豆、豆乳などの大豆製品に含まれる『イソフラボン』は、卵胞ホルモンと似た働きをすることで知られています。大豆製品をよく摂取する日本人は、それほど摂取しない欧米人よりも更年期症状を訴える人が少ないと言われているほどでもあります。大豆製品を積極的に食生活に取り入れることをお勧めしますが、日本人の2人に1人は大豆イソフラボンからエクオールを産生する腸内細菌を持っていません。大豆イソフラボンを摂取しても、体内でエクオールを作ることができないのです。自分がエクオールを作れるのかどうか「ソイアチェック」で調べてみるといいでしょう。

    エクオールを腸内で作れない人は、エクオール含有のサプリメントを活用し直接摂取できます。医療機関での治療と並行する形でサプリメントを活用することも、更年期症状緩和のためには役立つ手段です。

    適度な運動を心がける

    ウォーキングのような有酸素運動は血流を改善し、ストレッチはホルモンバランスの調整や自律神経失調症状の緩和に高い効果を期待できます。どちらも簡単にできる運動となるため、日ごろから無理のない程度に取り組み、体と心を健やかな状態に保ちましょう。

    ストレスをためない生活を意識する

    更年期になると心身ともに不調が増えていくため、自分のペースを守りながらストレスを避けることも必要なポイントです。規則正しく健康的な生活を意識しつつ、体と心に負担をかけないように気を付けましょう。

    治療環境を整え、更年期症状と上手に向き合いましょう

    更年期は、一般的に45歳から55歳までと、長い年月において辛い症状が目立つ時期です。医療機関での治療によって症状の緩和が期待できますが、金銭的な負担が大きくなることを考え、必要に応じて医療保険の見直しをすることをおすすめします。

    医療保険の見直しにより、治療期間における金銭的な負担を抑えられ、新たなストレスを作らずに済みます。ストレスのない治療環境も更年期症状の緩和にとっては大切なポイントとなってくるため、ご自分の負担が軽減できる医療保険を検討してみましょう。

     

  • この記事を監修している先生

    時計台記念病院

    藤井美穂先生

    社会医療法人社団 カレスサッポロ 時計台記念病院
    院長・女性診療科部長  藤井 美穂 MD・PhD

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