更年期の症状をケアする
アロマの効果とは?

更年期の対策
21/01/19
更年期の症状をケアする<br>アロマの効果とは?

更年期症状のケア方法のひとつとしておすすめしたいのが、アロマテラピーです。
アロマテラピーを活用している産婦人科もあり、自宅でも簡単に取り入れられます。
更年期に効果的なアロマテラピーの方法について、詳しく解説します。

アロマテラピーとは

アロマテラピー(もしくはアロマセラピー)は、精油と呼ばれる、植物から抽出された香り成分を使った自然療法です。香りが脳に伝わり、心や体に作用する仕組みを活用することで、薬を使わずに、心身のバランスを整える効果を持ちます。
フランスでは、自然治癒力を高める予防医学や、症状の緩和や回復を促進する方法としてアロマテラピーが活用されています。医師が、医薬品として認められたエッセンシャルオイルを薬として処方することも一般的です。
日本でも、使用する精油に含まれるさまざまな成分を、病気の予防や健康増進に役立たせることを目的とした「メディカルアロマセラピー」の導入が進んでいます。

精油とは

精油とは、植物の香り成分を抽出したエッセンスです。エッセンシャルオイル、アロマオイルとも呼ばれます。香り成分は、花や葉、果皮、果実、根などを蒸したり、皮を搾ったりして抽出されます。
抽出には、非常に多くの植物が必要です。精油1kgを作るには、数トン単位の花や葉などの材料が必要になることもあります。材料が凝縮されるため、アロマテラピーで使用される精油は、100%植物から抽出されたもののみ使用できます。
「アロマオイル」などの製品名がついているものは、合成香料が使われている場合があり、アロマテラピーには使用できません。購入の際には、アロマテラピーの専門店で購入するとよいでしょう。

更年期にアロマテラピーが効果的な理由

脳にある大脳辺縁系と視床下部は、それぞれ感情と本能、自律神経を司っており、体温や睡眠などのからだの機能、ホルモンの分泌や感情などのコントロールを行います。そして、この大脳辺縁系や視床下部に影響を与える要素のひとつが、香りの分子です。
アロマテラピーで使われる精油には、さまざまな効果を持つ香りの分子が詰まっています。中には、エストロゲンと似た作用を持つ精油もあり、更年期症状の緩和効果が期待できます。
また、芳香浴で心身を落ち着かせたり、精油を使ったアロマトリートメントで血流の改善ができたりと、心身の不調を和らげるのに効果的です。

更年期に効く精油の種類

更年期に効果的な精油が、下記の種類になります。

ローズ

ローズの精油の香りは、嗅ぐだけで唾液中のエストロゲン濃度を増加させたという研究結果があります。また、不安感の減少や肌状態の実感アップ、他人への思いやり度アップなど、更年期症状を緩和する効果が期待できます。

ゼラニウム

ゼラニウムの精油もローズと同じく、嗅ぐだけで唾液中のエストロゲン濃度を増加させたという研究結果があります。
また、ゼラニウムの精油を付けたシールを毎日貼って1ヶ月過ごした人と、精製水を使った人とを比較した実験では、ゼラニウムを用いたグループのほうが、更年期症状の改善に効果が示されました。不安感の軽減や肌・髪の状態の実感などで、有意な効果がみられています。

クラリセージ

更年期には自律神経が乱れやすくなり、呼吸が浅くなり、代謝や血流の低下を招きます。クラリセージの精油の香りは、呼吸がゆっくりになる効果があることがわかっています。呼吸が浅く速いなと感じたら、クラリセージの香りを嗅いでみましょう。

ローズマリー

ローズマリーの精油の香りには、精神的疲労を回復する作用が確認されています。更年期症状によるストレスや疲労は、さらなる症状の悪化に繋がり悪循環となることがあります。ローズマリーの香りで、リセットしてみましょう。

グレープフルーツ

思考がまとまらず、やる気がおきない…そんなときに効果的なのがグレープフルーツの精油の香りです。グレープフルーツの香りには、交感神経の働きを高める効果があり、脳内の情報処理速度がアップする効果が期待できます。

サイプレス

サイプレスの精油の香りには、ホットフラッシュや肩こりを緩和する効果が期待できます。サイプレスの精油を使い、家族にアロマトリートメントをしてもらえば、メンタルケアとしても効果的です。

ネロリ

閉経後の女性を対象とした研究で、1日2回の頻度で5日間、5分ずつネロリの精油の香りを嗅いだところ、血圧も下がり、更年期の自覚症状が軽減したという結果が得られています。
また、冷えにも効果的で、ネロリ精油を嗅ぐことで皮膚温度が回復することが確認されています。

ラベンダー

ラベンダーの精油には、副交感神経を優位にし、心身共にリラックスさせる働きがあることが知られています。イライラしがちなときは、ラベンダーで気持ちを落ち着けるのがいいでしょう。睡眠の質を上げる作用もありますので、不眠の症状がある場合はぜひ試してみるといいですね。

おうちで簡単!アロマテラピーの取り入れ方

更年期症状に効く精油を選べたら、その精油の取り入れ方を見てみましょう。
アロマテラピーの利用方法は、下記のようになります。

吸入

吸入は、ハンカチやティッシュなどに、精油を1~2滴落として香りを嗅ぐ方法です。香りを嗅ぐ際に、顔を近づけすぎて精油が肌に付かないように注意しましょう。
洗面器などにお湯をはり、そこに精油を1~2滴落とす、蒸気吸入という方法もあります。蒸気が逃げないように、バスタオルなどを頭にかぶって香りを楽しむとよいでしょう。

芳香浴

芳香浴は、アロマポットやアロマランプなどに精油を入れて、部屋に精油の有効成分を拡散させる方法です。6~8畳の部屋で使用する場合、4~5滴の精油が適量です。
精油を入れる専用の器具がなくても、お湯をはったマグカップなどを使用する方法もあります。

アロマバス

アロマバスは、浴槽にお湯をはり、精油を3~5滴落としてよく混ぜてから入浴する方法です。ぬるめのお湯にゆったりつかると、リラックス効果がアップします。
精油は水に混ざりにくいので、事前に塩や蜂蜜、牛乳、生クリームなどを混ぜてから使用すると、浴槽内のお湯と混ざりやすくなります。

アロマトリートメント

アロマトリートメントは、キャリアオイルに精油を混ぜてマッサージする方法です。キャリアオイルとは、精油を希釈するときに使われる植物油です。
精油をそのまま皮膚に塗るのは、皮膚トラブルの原因になりますので、かならずキャリアオイルで1~2%に希釈しましょう。精油は1滴が約0.05mlなので、5mlのキャリアオイルに対して精油は1滴が適量の目安になります。
アロマトリートメントは、マッサージ効果に加えて、精油の香りや、精油とキャリアオイルが皮膚から浸透する効果が期待できます。家族に手や足などをアロマトリートメントしてもらいながら、リラックスした時間を過ごしましょう。

アロマテラピーで心身を労わる時間を作る

アロマテラピーは、精油があればすぐに始められます。香りを嗅ぐだけで、更年期の症状を緩和する効果が期待できますので、ぜひ試してみましょう。
更年期症状をチェックできる「更年期セルフ診断」がありますので、アロマテラピーを始める前後で症状の変化を記録しすると、より効果を実感できるはずです。

参考文献

女性外来のお医者さんが教える「更年期の苦痛」のやわらげ方 天野恵子

40歳であわてない!50歳で迷わない!もっと知りたい「女性ホルモン」 小山嵩夫

新版 医師が教える アロマ&ハーブセラピー 橋口玲子

参考URL

日本統合医学協会 メディカルアロマセラピーとは
medical-aroma.jp/medicalaromatherapy.html

わが国における MedicalAromatherapyの現状と将来展望
www.jstage.jst.go.jp/article/jsnas/13/3/13_247/_pdf

AEAJ アロマテラピーとは
www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/

AEAJ 精油とは
www.aromakankyo.or.jp/basics/oil/choose/

AEAJ アロマテラピーのメカニズム
www.aromakankyo.or.jp/basics/introduction/mechanism/

AEAJ 自律神経とアロマ
www.aromakankyo.or.jp/aromacollege/subject/auto/index.html

AEAJ 芳香浴が更年期症状に与える影響
www.aromakankyo.or.jp/basics/literature/new/vol28.php

AEAJ 精油の吸入が女性ホルモンに与える影響
www.aromakankyo.or.jp/basics/literature/new/vol21.php

AEAJ 女性ホルモンとアロマ
www.aromakankyo.or.jp/aromacollege/subject/hormone/index.html

フレーバーライフ社 精油(エッセンシャルオイル)とは?
www.flavorlife.co.jp/aromatherapy/aboutessentialoil.html

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