更年期に手指の関節痛が出るのは何故?
症状と原因、対策について
「手指の関節に痛みを感じる」「手の関節がふくらんでいる」「手指を動かしづらくなった」40歳を過ぎてからこのような症状がある場合、更年期が始まっている可能性が考えられます。
手指は私たちの体のなかでも特によく使う部分であるため、問題が生じることで日常生活が不便になります。
また、医師による治療をしっかりと受けることで、手指の関節痛を緩和することは十分に可能です。だからこそ、早期発見と早期治療を心がけ、症状と上手に付き合っていく必要があります。
今回の記事では、更年期に起こる手指の関節痛の症状と原因、対策について解説します。
更年期による手指の関節痛の症状
- 手指の関節が腫れて、痛みが出ている
- 手を握れなくなり、ふたを開けるような動作が難しい
- 手指の動きが悪い
- 手指の関節にこぶのようなものができている
以上のような症状は、『へバーデン結節』『ブシャール結節』などの病気が関係しているサインです。
ヘバーデン結節、ブシャール結節
へバーデン結節・ブシャール結節とは、手指の関節に生じる腫れや痛み、変形のことです。場合によっては変形が起こるケースもあります。
第一関節に起こる状態をヘバーデン結節、第二関節に起こる状態をブシャール結節と呼びます。
これらの症状で特徴的な点は、『結節』という名称にあるように、骨のこぶができることです。骨のこぶができて手指の関節が腫れて痛み、また水膨れのような症状が目立つことも多いです。
症状は一人ひとりによって異なりますが、関節の軟骨や関節の隙間に変形が生じ、時間がたつごとに骨が変形していきます。その結果、指の動きが鈍くなったり握る動作が難しくなったりして、普段の生活で不便さを感じる場面が増えていきます。
ほかの病気が原因となるケースも
『関節リウマチ』のような病気が手指の関節痛の原因に関わっている可能性も否定できません。
関節リウマチとは、関節内の組織が過剰に増える状態のことです。このような状態により、関節内に炎症が慢性的に生じるようになり、関節の破壊や機能障害が引き起こされます。
関節リウマチの症状は、手足の指関節の腫れが多いですが、膝関節や股関節に痛みを感じるケースも少なくありません。貧血や発熱、倦怠感などの全身的な症状が出ることも、関節リウマチの特徴だと言えます。
さらに関節リウマチでリスクが高いと言える点は、症状が悪化すると首に近い背骨にずれが出てしまう点です。このような状態では脊髄の圧迫や手足のまひ、呼吸困難などの症状も出るようになるため、自己判断や放置をすべきではありません。
「手指が動かしにくい」「手指の関節が変な形になっている」と思った場合は、1日でも早く医療機関で検査を受け、必要な治療を始めましょう。
へバーデン結節、ブシャール結節の原因
へバーデン結節やブシャール結節の原因は、現時点では医学的に明らかにされていませんが、更年期による女性ホルモンの減少が深く関係していると言えます。40代以降を迎えた女性や産後の女性に起こりやすい背景を考慮すると、女性ホルモンの変動と症状の関係性が無視できないためです。
更年期による卵胞ホルモンの減少
女性ホルモン『卵胞ホルモン(エストロゲン)』は、女性の体の健康状態を支えるために重要な役割を担っています。妊娠や出産のために働くだけでなく、筋肉や骨を丈夫に保ったり、自律神経の働きを順調にしたり、肌や髪の潤いを保ったり血流を良くしたりなど、女性の体に与えるメリットは非常に多いです。
しかし、更年期によって卵胞ホルモンの保護を受けられなくなると、女性の体にはさまざまな問題が起こるようになります。関節痛も数ある更年期症状の一つで、関節や骨がもろくなったり炎症を防げなくなったりすることが、へバーデン結節やブシャール結節の原因になります。
へバーデン結節、ブシャール結節の遺伝性
へハーデン結節やブシャール結節には遺伝性の有無を心配されることがありますが、現在では医学的に証明されてはいません。
しかし、家族では体質が似るケースが多いことを考えると、そのリスクは否定できないと言えます。母や祖母がヘバーデン結節やブシャール結節になっている方は、普段から指先に負担をかけないように気を付け、また更年期を迎えたら注意する必要があります。
更年期セルフチェック
40代を迎えてから手指の関節痛を感じていても、「更年期が原因で症状が出ている」と気付きにくいケースもあります。
しかし、更年期症状が悪化すると日常生活に支障が出る『更年期障害』になるリスクが高まるため、早期発見が欠かせません。
以下の更年期症状から、手指の関節痛のほかに気になる症状がないかを振り返ってみましょう。
45歳前後の方は、
- 首から顔にかけて、ほてりやのぼせが出る
- 急に汗をかくことが増えた
- なかなか寝付けず、眠れても途中で目が覚めてしまう
- めまいや吐き気、頭痛が出やすくなった
- 気持ちが落ち込み、不安感に悩まされる
- すぐにイライラして怒ってしまう
などの症状に、
55歳前後の方は、
- 肩こりや腰痛が辛くなっている
- 皮膚が乾燥しやすい
- しみやしわが出てきた
- 認知力の低下が気になるた
- トイレまで間に合わず、尿失禁してしまう
- 子宮の痛みがある
これらの症状が多ければ多いほど、手指の関節痛と更年期症状の関係性が深くなります。
少しでも気になる症状があれば早めに医療機関を受診し、体に異常が出ていないかを確かめてもらいましょう。
更年期によるヘバーデン結節、ブシャール結節への対処法
へバーデン結節やブシャール結節に対しては、医療機関、基本的には整形外科で治療を行う流れとなります。それに合わせ、日ごろからの体調管理で更年期症状を和らげたり、医療機関で更年期治療を始めたりする必要があります。
整形外科での治療
へバーデン結節、ブシャール結節には、まず整形外科の観点による治療が必要です。
整形外科では、主に患部の安静と固定を目的にしたテーピング療法や薬物療法が進められます。薬物療法では鎮痛剤やステロイド剤の注射、漢方薬が用いられることが多いです。以上の治療法で症状が緩和されない場合には、手術が必要になるケースもあります。
更年期症状への対処法
医療機関での専門的な治療に加え、日常生活での健康管理も更年期症状の緩和には欠かせないポイントです。
- 早寝早起きや日光を浴びる習慣を心がけ、体内リズムを整える
- 塩分を控えた和食や地中海食などの栄養バランスが整った食事を意識する
- 有酸素運動や筋肉トレーニング、ストレッチなどの適度な運動を、無理のない程度に続ける
- 気分転換を適切に取り入れ、ストレスをため込まないように気を付ける
- 毎日湯船に浸かり、シャワーだけで済ませないように気を付ける
このような生活習慣の改善は一見簡単そうに見えますが、ストレスや冷え症を予防するには非常に役立つポイントです。
更年期のストレスや冷え症は、さまざまな症状を引き起こしたり悪化させたりする原因になります。症状を予防して毎日を健康的に過ごすためにも、日ごろからの健康管理には十分に気を遣いましょう。
サプリメントの使用もおすすめ
更年期の健康管理には、サプリメントの摂取も推奨されています。実際に、女性ホルモンと似たような働きをする『エクオール』を含むサプリメントは、更年期による不快症状緩和をサポートすると考えられています。
エクオール含有のサプリメントは、へバーデン結節、ブシャール結節の初期症状の緩和には役立つため、軽症である場合には取り入れてみるといいでしょう。ただし、両方とも専門的な治療が必要となることから、あくまでも医療機関の治療を並行する形で活用しましょう。
医療保険の見直しも検討しましょう
へバーデン結節、ブシャール結節のような手指の関節痛をはじめ、更年期症状と上手に付き合っていくためには、医療機関の受診と治療、そして継続が求められます。
しかし、通院や治療、薬にかかる費用が、思わぬ金銭的な負担になるリスクも避けられません。毎月数千円程度の治療費だとしても、子供の進学や家族の介護でかかる費用を考えると、新たなストレスを感じてしまう方も多いほどです。
そのようなストレスを軽減するには、医療保険の見直しをおすすめします。治療での金銭的な負担を軽減することで、症状緩和に専念できるようになり、前向きに治療を受けられるようになります。医療保険のサイトやチェックツール、詳しい方との相談などで知識をつけ、納得できる保険を選びましょう。
更年期による体調の変化を最小限に抑え、明るく楽しい毎日を送るためにも、安心して治療を受けられる環境を整えましょう。