更年期に注意すべき病気:子宮筋腫

更年期に注意すべき病気・治療費
21/01/13
更年期に注意すべき病気:子宮筋腫

30代から更年期世代の20~30%にみられる病気として『子宮筋腫』があります。更年期はさまざまな病気が増えてくる年代ですが、こうした婦人科の病気は珍しいものではありません。
今回は更年期に注意したい子宮筋腫とはどのような病気なのか、症状、治療法などについてご紹介します。

良性の腫瘍、子宮筋腫とは

女性の生殖器官には子宮や卵巣、卵管などがありますが、子宮は鶏の卵ほどの大きさの器官です。内側から子宮内膜、子宮筋層、漿膜(しょうまく)と3つの層わかれており、子宮筋腫は腫瘍ができる場所によって大きく分類されます。
子宮筋腫は良性の腫瘍です。それが子宮の内側にできる筋腫を『粘膜下筋腫』、子宮の筋層内にできる筋腫を『筋層内筋腫』、子宮の外側にできる筋腫を『漿膜下筋腫』と呼びます。
しかし、中間層に筋腫ができることもあるため、すべてがこれら3つに分類されるわけではありません。また、閉経すると腫瘍が小さくなったり、複数個あって大きくなったりすることもあります

子宮筋腫の原因

子宮筋腫は卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンの働きが関係しています。そのため、初経前や閉経後の女性には筋腫が新たにできることはありません。また、子宮筋腫は昔に比べて増加傾向にあります。それはエストロゲン分泌の期間が長くなったためです。
昔は何人も子どもを産んでいた時代がありましたが、子どもを産むと約2年間は無月経期間ができるので、子どもを産んだ数だけエストロゲンの分泌にさらされない時期ができるためです。現在は1~2人、子どもを産まない選択もあり、エストロゲンの分泌の期間が長くなる傾向にあります。

子宮筋腫の症状、診断

子宮筋腫の主な症状としては、月経量が多くなることと月経痛です。その他に不正出血や頻尿、腰痛、便秘などの症状がみられることもあります。筋腫ができる場所によって、症状には違いが出てきます。

なかでも筋腫が大きくなっても症状が出にくいのは、子宮の外側にできる漿膜下筋腫です。子宮自体が大きくなることでまわりの臓器を圧迫しやすく、頻尿や腰痛などの症状が先に出てから、月経痛などの症状が出やすいとされています。筋層内筋腫は月経量と月経痛が増大するといわれています。

また、子宮の内側にできる粘膜下筋腫は、筋腫が小さくても月経量が多くなり、月経痛や不正出血、貧血を起こしやすいのが特徴です。 不妊や流産に影響することもあります。子宮筋腫は普段の月経時の症状と違う、市販の痛み止めが効かなくなったことなどから受診して発見されたり、健康診断などで偶然発見されたりすることが多いです。

子宮筋腫の診断は、産婦人科の内診と超音波検査、MRI検査などで行います。なかには稀ですが、画像所見が子宮筋腫の像と違う場合や、閉経後に筋腫が大きくなる場合には、悪性の子宮肉腫の可能性もあるため、さらに詳しい検査が必要です。

子宮筋腫の治療

子宮筋腫はすべてのケースで治療をしなければならないわけではありません。筋腫が小さく、特に症状がない場合にはそのまま定期的に経過を見て、大きくなったとき、症状が強くなったときに治療を検討することもあります。
子宮筋腫の治療法は大きく分けて手術と薬物療法が考えられます。

子宮筋腫の手術

根本的な治療としては、筋腫を取り除く手術です。手術方法は筋腫の大きさや数、年齢によって異なります。妊娠を希望する場合は、筋腫部分のみを摘出する『子宮筋腫核出術』、妊娠の予定がなく、筋腫が複数ある場合などは子宮をすべて摘出する『子宮全摘術』が行われます。核出術の場合には、出血が多くなることや、筋腫を取り切れないこともあり、再発のリスクがあります。

また、子宮を全摘したとしても、卵巣は残しておくので女性ホルモンが低下することはありません。手術のアプローチとしては、お腹を大きく切る開腹術から腹腔鏡・子宮鏡などの内視鏡を使った手術、または膣式で行われます。
近年では腹腔鏡手術が普及しているため、膣式術は減少しています。

他には、子宮筋腫に栄養がいかないように、血管を詰めて筋腫を小さくする『子宮動脈塞栓術』、マイクロ派や超音波を集中して当てて小さくする『子宮鏡下子宮内膜焼灼術(MEA)』『集束超音波療法(FUS)』などの治療もあります。適応例はそれほど多くはありませんが、筋腫の大きさや将来妊娠を希望するかによって、適応が決まります。

子宮筋腫の薬物治療

薬物療法としては、子宮筋腫を根本的に治す薬はありませんが、筋腫を小さくするホルモン療法と、筋腫に伴う症状を緩和する対症療法があります。
ホルモン療法は、低用量ピル、GnRHアナログ療法という治療法があります。低用量ピルは月経困難症や月経量が多い過多月経にも有効です。GnRHアナログ療法は女性ホルモンを抑え、月経を止めることで子宮筋腫を小さくし、月経困難症や過多月経を改善させます。この治療は更年期症状のような副作用があるため、投与期間は半年とされています。

また、治療を中止すると元の大きさに戻る可能性があります。そのため、適応となるのは、20~30代の若い世代ではなく、40~50代の更年期世代で、もう少しで閉経する可能性がある場合などに限られます。

筋腫に伴う症状の緩和としては、月経痛の場合には鎮痛薬、貧血がある場合には鉄剤などがあります。これらは筋腫そのものを小さくする治療ではないため、並行して治療を行います。

妊娠中に筋腫が発見された場合

子宮筋腫は症状が出ないまま経過をたどることも多く、妊娠してはじめて筋腫が発見されることもあります。妊娠中に何も変化が起こらずに経過することもありますが、流産・早産、分娩障害などのリスクを考えると、時には妊娠中の手術適応も禁忌ではありません。多くは、保存療法や経過観察が行われています。そのため、妊娠を希望する場合には、ブライダルチェックのような妊娠・出産前におすすする検査(子宮がん検診、子宮や卵巣の検査など)を受けて備えることも大切です。

子宮筋腫は良性であるため、すぐに治療が必要とならないケースも多いです。筋腫が小さく、症状が出ないまま経過することもあり、定期的な経過観察で小さくなることもあります。
一方、手術や薬物治療をしても、再発するリスクもゼロではなく、通院や治療が長期に必要になる可能性もあります。いずれの治療法もメリットとデメリットがあり、筋腫の大きさや数、年齢、今後妊娠を希望するかなどによって適応できる治療も異なります。

女性にとって身近な病気ではありますが、仕事や家庭などのさまざまな事情も踏まえながら、主治医とよく相談して治療方針を検討しましょう。

参考

書籍「女性外来のお医者さんが教える「更年期の苦痛」のやわらげ方」p.82

www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=8

jsgo.or.jp/public/kinshu.html

medicalnote.jp/contents/201023-001-NK

medicalnote.jp/contents/201023-002-XV

www.is-lady.com/gyne/kinshu_faq.html

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